「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第875回
取材のお礼にウラを返す

ちょうど2週間前の火曜日の夜。
赤羽の超人気焼きとん店「米山」で
開店を待つ行列に並んでいると、
テレ朝のディレクターから電話が入り、
とある企画が持ち込まれた。
翌々日の木曜には駆け足で撮影を済ませ、
先週の火曜には「スーパーJチャンネル」で放映。
ずいぶんとあわただしい日程だった。

番組のテーマは非洋食店における裏洋食メニューに
スポットをあてようというもの。
訪れたのは浅草橋「西口やきとん」と
東向島「岩金」の大衆酒場を2軒。
前者では皿ナンコツのフランスパン乗せ、
後者では海老グラタンを紹介させてもらった。

両店とも快く撮影に協力してくれて
スケジュールはきわめてスムースに消化される。
そのお礼の意味合いもこめて
撮影の2日後の土曜日に友人を伴い、両店を再訪した。

最初に「西口やきとん」。
奥にテーブル席もあるが、
この店らしいのは入り口周りの立ち飲みコーナー。
土曜の夕方だというのに、ほぼ満席である。
店長のカッちゃんが八面六臂の活躍ぶりだ。
瓶ビールに続き、撮影時にも飲んだ幻の酒・ホイスを所望。
実際は幻でもなんでもない一種のハイボールなんだけど・・・。

つまみは塩味のもつ煮込みと魚肉ソーセージ入りもんじゃ。
ともにナリは小さいながらも
150円という破格の値付けがうれしい。
下町の良心、ここにあり、である。
あとは焼きとんのハツを塩、レバをタレで焼いてもらう。
生でもイケるレバは半焼きでお願いした。

小一時間ほどの滞在のあと、都営浅草線で曳舟に移動。
最寄りは東武伊勢崎線の東向島だが
浅草橋からだと、浅草で乗り換えねばならず、
地下鉄一本のほうが好都合。

ここでも酒はビールとハイボール。
友人には撮影時にも使った海老グラタンをすすめておいて
ほかに目玉焼きを添えたハンバーグ、
絹さやの玉子とじ、そしてやや小ぶりなヒレカツを注文。
並んだ料理はとても大衆酒場のものとは思えない。
まるで洋食屋の夕食シーンだ。

撮影の夜にはカウンターに並んでいた
常連さんたちの姿が見えない。
週に3度は顔を出すという人たちも
普段は平日の勤め帰りに立ち寄るのだろう。
週末ともなれば、ガラリと顔ぶれが変わるものらしい。

傍らの友人は一人でグラタンを完食して
今度はハンバーグに箸を伸ばしている。
どちらもそんじょそこらの半端な洋食屋を
圧倒するほどの出来映えだ。

店内に立ち込める空気に心身がほぐされる。
カウンターの女性トリオの受け答えが
その源泉であることは指摘するまでもない。
渋谷・新宿・池袋はいざ知らず、
下町の大衆酒場を彼女たちの存在抜きに
語れはしないのである。

【本日の店舗紹介】その1
「西口焼きとん」
 東京都台東区浅草橋4-10-2
 03-3864-4869


【本日の店舗紹介】その2
「岩金」
 東京都墨田区東向島6-13-10
 03-3619-6398

 
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2009年11月10日(火)

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