第876回
買ってきました ひらめとまぐろ(その1)
例によって「めしとも」のあらたなるミッション。
12月発売の正月号のために
食べまくることになった品目はタンメン。
ここ2週間、1日1度はツルツルやっている。
まさに今日もタンメン、明日もタンメンの日々である。
実際に食べ続けてみて感じる。
以前にこなしたハンバーグやうなぎと比較して
タンメンはずっとラクなのだ。
ラーメンならもっとラクだろうが
身体にはタンメンのほうがよさそうだ。
化学調味料を避けて通ることかなわぬとも
どこの店も野菜をどっさり入れてくる。
大量の野菜と豚肉を油で炒めるから腹持ちもよい。
その日も御徒町の食堂でタンメンの昼餉。
夜には日本シリーズ第4戦がある日のことだ。
前日からこの夜は家で自炊と決めていた。
TV観戦しながらの夕食というか、晩酌を楽しむのである。
したがって帰りにはサカナのデパート「吉池」で買い出し。
同じ御徒町でタンメンをやっつけたワケがここにある。
買い入れた品々は以下の通り。
茨城産天然ひらめ(100グラム=1280円)
アイルランド産本まぐろ赤身(135グラム=675円)
産地不明の生わさび(1本=480円)
赤魚の八海山粕漬(1枚=350円)
静岡産釜揚げしらす(70グラム=225円)
刺身用にはまぐろだけでよかったが
ひらめが見るからにすばらしく、少々ぜいたくをした。
これだけだと野菜が不足するので
しらすにはタップリの大根おろしを添える。
あとはにんにくを利かせた
ブロッコリーのオイスターソース炒めだ。
野菜はすでに買い置いてあったもの。
ブロッコリーの牡蠣油炒めは初めて作るけれど、
ニューヨーク時代にはしばしばランチで
お世話になったから、作り方はおおよその見当がつく。
事実、彼の地の中華料理屋と遜色のないものができた。
自宅に刺身包丁なんてないので
いつも使っているペティナイフに毛の生えたようなのを
醤油用小皿の裏を使って念入りに砥いだ。
そうしておろしたのがこれだ。
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ひらめとまぐろの紅白がつややか
photo by J.C.Okazawa
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いやはや、どちらもクリーンヒットであった。
ひらめの心地よい弾力はおそらくこの日の朝〆だろう。
噛んでやると、身肉がミシリと音を立てるではないか。
まぐろ赤身のキメ細やかなテクスチャーも
舌を喜ばせることしきりだ。
日本シリーズの結果は芳しいものではなかったが
ともあれ誰にもジャマをされずに
独り自宅でやる晩酌はこたえられない。
これなら女房なんかいりゃしません。
白玉の 歯にすきとほる 秋の夜の
酒は静かに 飲むべかりけり
まっこと、牧水先生はよい歌をお詠みなすった。
=つづく= |