「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第881回
赤とは限らぬ 酒場のちょうちん (その1)

1974年の映画に「赤ちょうちん」がある。
当時人気だった、かぐや姫のヒット曲をモチーフに
藤田敏八監督がメガフォンをとった作品である。
うら若き秋吉久美子が可愛い。
そういやあ、相手役の高岡健二(その後、建治に改名)は
まだ役者を続けているんだろうか。

湯島は天神下の交差点に
その名もずばり「赤提灯」という居酒屋がある。
30年も以前、この場所に
店名すら思い出せない大衆酒場があった。
現在の「赤提灯」とは経営も異なるだろうし、
30年も経ったのだからあえて暴露するが
そこでとんでもない体験をしたのである。

ビールを頼んだら突き出しに小ぶりのかき揚げが出た。
一つだけヤケに大きい長ねぎの筒切りが目につく。
それだけがやたらに目立ったのである。
かき揚げにしがみ付き、はがされないように頑張るそいつを
無理矢理、箸先で引っぺがしたJ.C.は
次の瞬間、卒倒しそうになった。
何とそれは長ねぎなんかではなく、料理人の指先から
スッポリ抜け落ちた使用中のバンドエイドだったのである。
かき揚げの種をこねてる間に指から外れたのだ。
いやはや、まいったネ、これには――。

と、前フリはここまで。
赤ちょうちんの話を持ち出したのは
つい最近、緑のちょうちんの居酒屋に遭遇したからだ。
こいつはかなり珍しい。
記憶する限り、銀座の「武ちゃん」だけではなかろうか。
でも、あちらはいわゆる“赤ちょうちん”とは
違う形態の焼き鳥屋さんであるわけで
居酒屋としての“赤ちょうちん”を営みながら
店先に“緑ちょうちん”をぶら下げている店は
前代見聞じゃないかしら――。

最寄り駅は本所吾妻橋ながら
押上からテクテクと歩いて行った。
途中、いやでも建設中の東京スカイツリーが目に入る。

いよいよカタチを成してきたスカイツリー
photo by J.C.Okazawa

世界一の鉄塔は現在こんな感じである。
この写真は2ヶ月ほど前の撮影につき、
もうちょっと伸びている可能性が大だが
鉄塔部分の建設への着手はまだのようだ。

15分ほど歩いたろうか、「わかば」に到着。
はは〜ん、そうか、そうか、
緑のちょうちんは店名「わかば」に
由来するものだった。
若葉が赤いんじゃ、イメージが壊れるものね。

提灯・暖簾ともに緑で統一
photo by J.C.Okazawa

実はこの店、数日前に1度フラれている。
満員で席にありつけなかったのだ。
それほどに地元では人気が高く、
すぐそばの「わくい亭」とともに
本所の二大居酒屋として認知されているらしい。

壁の品書きを見やりながら
冷たいビールをグイッとやって
まずは定番のもつ煮込みを注文した。

             =つづく=

 
←前回記事へ

2009年11月18日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ