「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第883回
ラーメンに伊勢海老ねェ・・・

東京駅・八重洲地下街のラーメンストリート。
この6月に人気のラーメン店が4軒オープンした。
再来年にはあらたに4軒が加わり、
計8店舗でグランドオープンするのだそうだ。

平日の昼前、何をどう間違えたのか、
このストリートに迷い込んでいた。
そのときに初めて4店舗の開店を知ったのだった。
せっかくだからと、ラーメンを食べるつもりになった。
大崎だか五反田のほうに
本店があるという「六厘舎TOKYO」は長蛇の列。
行列の長さで人気を量るなら、ここが一番人気だ。

1軒だけ行列のない店があり、これ幸いと入店。
店名を確かめてビックリした。
「二代目けいすけ海老そば外伝」、これがフルネーム。
何だか「カムイ外伝」みたいだけど、
それにしてもずいぶん大仰な・・・。

海老そばは中華料理店なら
塩味スープに海老が浮き沈みしているのが一般的。
日本そばの場合は更科に干し海老を打ち込んだ変わりそば、
いわゆる海老切りということになる。

ここはどんな海老そばを食べさせるのだろうか。
思い切って全部入りに等しいような
伊勢海老そばセットというのを選んだ。
券売機で食券を買うと、これが金1200円也。
けっこうな値段だが、まさか伊勢海老本体は入っちゃいまい。
麺に伊勢海老の粉末(こんなモンはないか?)が
練り込まれているとも考えにくい。
となれば、スープの出汁に海老の殻を使っているのだろう。

およそ10分後にでき上がった
伊勢海老そばセットの全容はかくの如し。

何だかいろいろゴチャゴチャと
photo by J.C.Okazawa

まずどんぶりが変わっている。
地球儀を日本刀で袈裟掛けに一刀両断したみたいなヤツ。
そこにしゃもじ大の蓮華が差し込まれて
これが非常に扱いにくい。
具材は、蒸し鳥・海老ワンタン・シナチク・ナルト・
水菜・ねぎ・柚子・糸唐辛子。
別盛りで、とろチャーシュー・味付け玉子・山くらげ。

食後感はけしてよいものではなかった。
どんぶりの蒸し鳥も別皿のチャーシューも
冷たすぎてスープの温度を下げてしまう。
枕木状にカットしたシナチクは大きいだけで旨みに乏しい。
海老ワンタンは井の頭線・浜田山の名店「たんたん亭」の
それに遠く及ばない。

肝心のスープに甲殻類特有の風味は感じられるが
何も伊勢海老を使うことはないと思われた。
気になるのは大量の殻を必要とするわけで
伊勢海老本体はいったいどこに消えたのかということ。
おそらく只同然の殻だけを特殊なルートで
仕入れているとしか考えられない。

えてして大げさな店名を振りかざす店は
見掛け倒しに終わることが多いものだが
「二代目けいすけ・・・」もそのくびきから
逃れることができなかったようだ。


【本日の店舗紹介】
「二代目けいすけ海老そば外伝 八重洲店」
 東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅一番街B1
 03-6273-4427

 
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2009年11月20日(金)

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