「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第887回
これが噂の ゲソのっけ天丼

ある秋晴れの休日。
昼食後、天候に恵まれたので
久々に長距離散歩を敢行する気になった。
思い立ったらすぐに行動を起こすのが得策。

蔵前―上野広小路―本郷―小石川―大塚―
北池袋―椎名町―西落合―新井薬師

ずいぶんと歩いたものだ。
古今亭志ん生の十八番、
「黄金餅」の葬送行進は上野から麻布までだから
それよりもずっと長いことになる。

新井薬師の門前に差し掛かった頃には
日もとっぷりと暮れ、商店街には灯りが点っていた。
休日なのでシャッターを下ろしたままの店も散見されたが
ここで心惹かれる焼き鳥屋を発見。

薬師前の角地にあった「金亀」
photo by J.C.Okazawa

ほのぼのとした温もりを感じさせる店である。

この夜は中野ブロードウェイの「住友」で
天ぷらを肴に一杯やる腹積もり。
そのために中央線沿線に居を構える友人と
現地集合の約束をしている。
待ち合わせまで30分ほどの余裕があり、
渡りに舟と「金亀」の暖簾をくぐった。

提灯や暖簾には焼き鳥と明記されている。
しかるに実際は焼きとん主流の店であった。
良好な立地ながら、店内は拍子抜けするほどに狭い。
カウンターのみで5〜6人も座ればいっぱいだ。

やる気のなさそうなオバちゃんが奥から出て来た。
注文品はビールと煮込み豆腐。
大きな煮込み鍋があるでもなく、
注文が入るたびにあらかじめ煮ておいた中サイズの鍋から
小鍋に移して温め直すスタイル。
豆腐も冷蔵庫から出したパックを開き、
包丁を入れて小鍋のもつ煮と合わせるだけ。
これにはがっかりしてしまい、急にビールが苦くなった。

ところがこれがよい方向に期待を裏切るシロモノ。
豚のシロモツを使用する正統派は好きなタイプで
有楽町「八起」、あるいは神保町「加賀廣」の水準に
迫るほどのものであった。

気分をよくして、天ぷら「住友」へ。
たことわかめの酢の物、しらすおろし、
野沢菜をつまみに、この店でも引き続きビール。
いずれの小鉢も安くて旨い。
さすが中野駅周辺ではワン・オヴ・ザ・ベストの名店である。

ビールに飽きてきて、芋焼酎に切り替えた。
銘柄は黒酔神、これをロックでやる。
相棒が頼んだハゼとイワシの天ぷらを1尾ずつ失敬して
ハゼは塩、イワシは生醤油でいただくと、
黒酔神によくなじみ、心なしか風味に奥行きが生まれた。
見るからに、味わうからに、庶民的な天ぷらなのだが
首を傾げるほどに旨いのだ。

仕上げは昼めしどきの人気メニュー、
かき揚げ丼のゲソのっけである。

よくわからんがボリュームあり
photo by J.C.Okazawa

小海老とごぼうとにんじんのかき揚げを覆うように
するめいかのゲソとミミが乗っている。
けっこうな大きさだが、完食してもなぜか胃にもたれない。
680円のかき揚げ丼にゲソ&ミミを乗っけても760円。
たかだか80円によるヴァージョンアップは
ぜひぜひ、お試しあられたし。


【本日の店舗紹介】その1
「金亀」
 東京都中野区新井1-36-1
 03-3385-0435

【本日の店舗紹介】その2
「住友」
 東京都中野区中野5-52-15中野ブロードウェイ2F
 03-3386-1546

 
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2009年11月26日(木)

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