「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第898回
南国土佐を味わって

あれは今からピッタリ50年前。
まだデビュー間もない小林旭主演の日活映画、
「南国土佐を後にして」が封切られたのは――。
瞳、愛くるしいルリ子も可愛かった。
この映画、もともとはペギー葉山が歌って大ヒットした
同名曲をモチーフとするサスペンスドラマである。

まだ10歳に満たない子どもだったJ.C.も
この曲のヒットをよく覚えている。
原曲は四国出身者で混成された
中国派遣“鯨”部隊の兵隊さんが
戦地で口ずさんだものらしい。
ペギーの歌唱力とも相まってけだし名曲。
それにしてもペギー葉山という人は歌の上手な人だ。
「学生時代」なんか、ほかの歌手が歌うと
まったく別物になっちゃうもの。

そんなワケで(どんなワケだ?)今日は土佐料理。
赤坂・銀座にも出店している「祢ぼけ」出身の料理人が
学芸大学の地で開く「よね津」を久々に訪ねた。
また話が脇にそれるが
この店が入居しているのは笹崎ボクシングビルの1階。
ボクシングファンならどなたもご存知、
二階級制覇を成し遂げた(実質三階級制覇)、
ファイティング原田を育てた笹崎ジムのあるビルである。
店の前を通りかかると、ときどき頭上から
威勢のいいトレーニングの掛け声が降ってくる。

タモリ曰く、海で溺れた“たこ”こと、
たこ八郎もこのジムの所属選手だった。
人は見掛けによらぬもので、彼は片目を失明していながら
日本フライ級の王者に上りつめている。
リングネームは斉藤清作、人呼んでカッパの清作である。
誤解を怖れずに言ってしまえば、辰吉の網膜はく離は
斉藤に比べりゃ、はなはだ軽症と言わざるを得ない。

話を元に戻して「よね津」。
まずは霜月(11月)の品書きをながめてみよう。
かつおと酒肴セット(3500円)はともかく、
例によって献立を自分では構成できぬ、
おまかせセット(4500円・5500円)には目もくれない。

白身魚のお造り・土佐清水の鯖たたき・甘鯛のかぶら蒸し・
白子の茶碗蒸し・ぶりと葉にんにくの煮物・かますの風干し・
四万十川ごりの唐揚げ・かきの時雨煮などが並んでいる。
でも、やっぱりここへ来ると、
どうしても看過できないのは
名物かつおたたきと“日本一”をみずから謳う鯨カツ。
ともに文句なしに旨い。

土佐清水の鯖たたきにも惹かれることしきりなれど、
これは締めに土佐清水鯖棒寿司をいただくから
重複を避けるために断念せざるを得ない。
2人で出掛けた場合、ほかに頼む料理は
チャンバラ貝煮物、わかさぎの南蛮漬あたり。
そしていつも思うのである。
何をいただこうとも結局、にんにくの利いたかつおたたき、
カレー風味の鯨カツに勝るものはナシと――。
この2皿が「よね津」のダブルKOパンチであることに
異論をはさむ余地はない。


【本日の店舗紹介】
「よね津」
 東京都目黒区鷹番3-4-13
 03-3716-5991

 
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2009年12月11日(金)

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