「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第905回
芭蕉ゆかりの千住大橋

小舟を仕立て深川の海辺橋から
隅田川を上った松尾芭蕉が舟を降りたのは千住大橋。
ここに「おくのほそ道」の第一歩が記された。
 行く春や 鳥啼き魚の 目は泪
矢立の句が詠まれたのもこの場所である。

現在の千住大橋北詰には
道幅の広い奥州街道の上を京成電鉄の高架がまたがり、
そばに築地魚河岸支部の足立市場も設けられて
往時を偲ぶよすがとてない殺伐とした光景が拡がっている。

それはそれとして千住大橋駅の高架下に
界隈随一の料理屋「田中屋」が灯りを点している。
屋号は平凡でも供する品々は非凡な店だ。
ここの看板料理は活魚ととんかつ。
一見、相容れそうもない二枚看板ながら
予断に反してどちらも出来映えは上々、
何をいただいても、まずはずすことがない。

しばらくぶりにカウンターに座った。
ビールを注ぎ、手書きの品書きに目を通す。
すぐに出された突き出しは
せりの白和えと姫さざえの酒煮。
相変わらず刺身の品揃えが半端ではない。
今夜はちょいとひねって白魚と地だこを所望する。

子持ち鮎・赤むつ・まながつお・かます・
さんまなどがズラリと並ぶ焼き魚、
きんき・真子がれい・めばるの煮魚、
ともに惹かれるものがあったが
刺身をつまんだあとは揚げものと心に決めてある。
季節柄、かきフライがあるし、
海老フライと串カツだって並みのとんかつ屋の比ではない。
迷ったフリをしながらも、やはりとんかつを注文することに。

ビールの大瓶を2本飲み干し、
キャベツとポテトサラダが添えられた
超厚切りのロースとんかつを平らげ、
早くも「田中屋」に別れを告げた。

このままおめおめとこの土地をあとにするJ.C.ではない。
ちょくちょく出掛ける北千住では面白味に欠けるので
向かったのは京成線の隣り駅、関屋である。
道をはさんで東武伊勢崎線の牛田駅と相対しており、
どちらが古いのか知らないが
同じ駅名にすれば済むものを、実に紛らわしい。

2つの駅から徒歩30秒の「モアナ」に入店。
ハワイ調の洋風居酒屋である。
目当てはカレーもつ煮込みだ。
焼きもののシビレ(胸腺肉)とともに即注文する。
酒は金宮焼酎の梅割りでいく。

ほどなく届いたカレー煮込みには
牛のシロ・テッポウ・レバーが散見された。
ハフッハフッ、うん、シロは悪くない。
フム、テッポウもまずまずだ。
残念だったのは血抜きが不完全なレバー。
ほとんど“掃除”をしていないな、これは。
一緒に頼んだシビレの炭火焼きはよかったが
レバーの口直しにマッコリをお願いしたくらい。

血抜き不完全につき、今宵は不完全燃焼。
東武線に乗って浅草は牛すじ煮込みの名店、
「正ちゃん」を目指したのでした。


【本日の店舗紹介】その1
「田中屋」
 東京都足立区千住橋戸町13
 03-3882-2200

【本日の店舗紹介】その2
「モアナ」
 東京都足立区千住曙町2-4
 TELナシ

 
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2009年12月22日(火)

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