「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第915回
スコットランドの森鳩

このところ顔を合わせる機会の増えた友里征耶が
旧臘、彼の新著を送ってくれた。
新潮新書の「グルメの嘘」がそれだ。
かなりの自信作とあって
精魂こめた努力のあとが随所に見受けられ、
今までの、といってもホンの数冊に過ぎないけれど、
その中ではベストであろう。
表現や指摘するポイントなどに重複が見られるものの、
おおむね読む者を飽きさせることがない。

ご当人も
「全部出し切りましたので、政治の分野へ移転しない限り、
これ以上のものは書けないと思います」――このように
白状しているからこれで打ち止めらしい。
もっとも「政治の分野」に移転などされたら
都か区か定かでないにせよ、選挙区の住民にとっては
それこそたまったものではない。
まさか全国区へ打って出るつもりはないと思うが
いずれにしても有権者がそんな蛮行を許すはずもなく、
打って出ても落選確実だろう。

同じく旧臘、銀座はコリドー街にあるミシュラン一ツ星、
「ル・シズィエム・サンス」にての食事会。
年忘れディナーということで
飲み仲間のIアサンとK石クン、それにO堤夫妻の計5人が
地下のVIPルームに集結したのだった。

ここへは2週前にも訪れており、その際、
S木シェフにジビエ中心の献立をお願いしてある。
当夜、早めに着いてしまったJ.C.は
ひとり地ビールを飲みながらメンバーの到着を待つ。

シャンパーニュで乾杯のあと、
さっそくのアミューズは真鱈白子のベニエ。
個人的には河豚の白子より好きなほど。
軽快なスタートを切ることができた。
アントレは蝦夷鹿のカルパッチョ。

キャヴィアとオマール海老とコンテが添えられた
photo by J.C.Okazawa

相当なボリュームがあり、
少食の方ならこれが主菜でもよいくらい。

お次は海胆のクレームをあしらった
オマール海老のロワイヤル。
クリスマスシーズンとあって高級食材の連荘である。

小さなビー玉みたいなのは山女魚の卵
photo by J.C.Okazawa


食感を楽しむ山女魚(やまめ)の卵が珍しい。
続いてはすっぽんのコンソメでポシェした伊勢海老。
この皿には葉野菜と酢橘(すだち)が添えられる。

そしていよいよ本日の主役、スコットランド産森鳩だ。

レバーペーストを乗せた森鳩胸肉
photo by J.C.Okazawa

狩猟規制の厳しいフランスからの輸入が難しく、
ジビエ類の産地はスコットランドの独壇場となっている。
森鳩は日本で言うところの雉鳩(山鳩)のこと。
もっともこの鳩は山というよりも森に棲んでおり、
近年では東京の都市部でも見られるようになった。
驚いたことにJ.C.も「神田まつや」の真ん前の潅木で
つがいが営巣しているのを偶然、発見したことがある。
合わせたワインはO堤氏の提供による
ルロワのグラン・エシェゾー1959年で
まさに夢のような組合せ。

この夜はデセールまで美味しくいただいた。

蜜柑のシロップ煮とショコラのグラッス
photo by J.C.Okazawa

味もさることながら、
ルックスが可愛らしく、そしてあでやかだ。

翌日は年末恒例となった桐山部屋でのちゃんこ会。
そのまた翌日は舌平目をテーマ食材とした月例グルメ会。
師走ともなれば、連日連夜に渡って
美食・飽食の限りをつくすこととなる。
神よ、わが暴挙を許し給へ!


【本日の店舗紹介】
「ル・シズィエム・サンス」
 東京都中央区銀座6-2-10
 03-3575-2767

 
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2010年1月6日(水)

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