「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第916回
突然、取材拒否の店

「めしとも」1月号のタンメン特集に関して再び。
同号では5軒の中華そば店や食堂のタンメンを
写真入りで紹介したのだが撮影も終わり、
最終ゲラを各店舗に配布したとき、
突然、降りてしまった店が1軒あった。
別にトラブルがあったわけでもなく、
担当者にも降板の理由が告げられず、
とにかく関係者一同、首を捻るばかりだったのである。

あわてて代役の取材を完了して事なきを得たものの、
その店を選んだ者としてどこか釈然としない。
そこで自分なりに考えてみた。
「何が彼女をそうさせたか?」――じゃなかった、
「何が彼の店をそうさせたか?」――をである。

ケッツロ〜ン!
その前に掲載文から少々抜粋してみたい。
さすれば、そこから透けて見えるものもあろう。

 野菜をたっぷり摂取できるタンメンは
ラーメンより健康的な食べ物といえよう。
ただ一点、うま味調味料の使用だけが悩ましい。
これはタンメンが持って生まれた宿命だ。
無化調を謳うラーメン店はいくらでもあるが
タンメンだけは無理なのだ。
 ここは化調のデメリットに目をつむり、
ビタミンと植物繊維の恩恵に浴するのが一番。
タンメンが誕生した昭和2〜30年代、
どの家庭の食卓にも“Aの素”の小瓶が君臨していたが
現在の主原料はサトウキビで
味覚はともかく健康への悪影響はないらしい。
となれば上手につき合っていくのも一考。
人類と化学を結ぶ“虹の架け橋”、
それがタンメンに与えられた唯一無二の使命であろう。

文中の赤字部分がお気に召さなかったに違いない。
あからさまに化学調味料の使用を
指摘されたくなかったのだろう。
当方はその点を批判する気などサラサラないのだが
繁盛店だけに地元の常連客の反応を怖れたのかもしれない。

この店は根津の交差点近くにある「中華 オトメ」。
当コラムでも紹介しているし、
自著に掲載もさせてもらっている。
街の中華屋さんとして気に入りの1軒なのだ。
なので、あらためてそのタンメンを紹介しちゃいたい。

上品な面立ちのタンメン
photo by J.C.Okazawa

ご覧ください。
丁寧に仕上げられてどこどなく清楚なたたずまい。
途中から酢を振り入れたり、
にんにくの利いた豆板醤を投入したりして
ぞんぶんに味わいを楽しんだ。

あらためて叫びたい。
化学調味料を恥ずることなどありません。
考えてもみてください。
世の中に化粧をしない女性はほとんどいないでしょう。
みなさん素顔の上に何らかのコスメティックスを
上塗りしているわけで化粧品はもはや
“化学調顔料”と言っても過言ではありません。
化学調味料を受け入れる人々が
味覚障害者として非難されるのならば、
“お化粧美人”に惹かれるオトコたちはみな
視覚障害者のレッテルを貼られちまうじゃないですか!

オスとメスを結ぶ“虹の架け橋”、
それが化粧品に与えられた唯一無二の使命でありましょう。


【本日の店舗紹介】
「中華 オトメ」
 東京都文京区根津2-14-8
 03-3821-5422

 
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2010年1月7日(木)

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