第917回
手打ちパスタの魅力(その1)
神保町の行きつけ店「やまじょう」で
女将のM子サンの足を引っ張りつつも支えている
アシスタントのMりチャンと一緒に東高円寺に赴いた。
目指すはカジュアルイタリアンの「Pasta forest 20」。
若いカップル2人で切盛りするマダムのほうが
Mりチャンの大学の同窓生なのだそうだ。
失礼ながらあまり期待もせずに
東京メトロ丸の内線に乗り込む。
青梅街道沿いの店は環七を越えてすぐ左側にあった。
うなぎの寝床というほどではないにせよ、
縦長にしてコンパクトな店内の雰囲気は
ロマンチックというには程遠いものの、
居心地自体はけっして悪くはない。
壁の黒板にチョークで書かれた本日のおすすめに見入る。
ちょいと整理して要約してみよう。
◎前菜&スープ
アヴォカドを使ったカプレーゼ
きのこのテリーヌ
オレンジ白菜のピクルス
栗とリコッタチーズの生ハム巻き
鴨の燻製
牡蠣のクリームスープ
◎パスタ&リゾット
タリアテッレ・リコッタとトマトのソース
いか墨のタリアテッレ・海胆と菜花のペペロンチーノ
タリオリーニ・ポルチーニのガーリック風味
トマトのキタッラ・猪肉のラグーソース
パッパルデッレ・帆立燻製とマッシュルームのソース
粗挽き豚肉と黒キャベツのリゾット
◎主菜
牛ほほ肉のジェノヴァ風煮込み
といった風である。
別の小黒板にはドルチェが8種類ほど。
こうして見ると手打ちパスタに
精魂を傾けているのがよく伝わってくる。
ほかにもレギュラーメニューがあって
客は両方を首っ引きで吟味するのである。
さてどうしたものか。
じっくりと検討を重ねた結果、
われわれ2人が選んだのは
オレンジ白菜のピクルス
クリームチーズの赤ワイン味噌漬
真鯛の燻製・温野菜添え
牛肉のたたき・西洋わさび風味
タリオリーニ・ポルチーニのガーリック風味
パッパルデッレ・猪肉のラグーソース
カタラーナ
前菜が4皿にパスタが2皿、そしてドルチェが1皿。
チーズ味噌漬・真鯛燻製・牛肉たたきは
定番メニューにあったもの。
パッパルデッレはパスタとソースの組合せを替えてもらった。
さあ、あとはワイン選びだ。
おもむろにリストを開く。
=つづく= |