「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第918回
手打ちパスタの魅力(その2)

東高円寺は青梅街道と環七の交差点近く、
手打ちパスタがウリの「Pasta forest 20」に来ている。
料理の注文を終え、ワインリストを開いたところだ。
サッと目を通して良心的な値付けに思わず頬がゆるむ。

プリンチペ・コルシーニの
キャンティ・クラシコ レ・コルティ‘06年が3800円。
こいつはエラいや。
イタリアンではないがミッシェル・グロの
ブルゴーニュ・ルージュ‘06年は5000円。
いいじゃないですか。

シチリアのエトナ・ロッソ、
バジリカータのアリアニコも格安で提供されている。
南イタリアの重い赤は少々苦手なので
キャンティ・クラシコに決めるつもりでいたら
いきなり目に飛び込んできたのは
カッシーナ・フォンタナのバローロ‘01年だ。
何とこれが7500円ときた。
小さいながらも、いや、小さいだけに
古き良き伝統を受け継いできた優良畑である。

う〜む、同行しているMりチャンには
猫に小判(?)かもしれないのだが・・・。
やはりこれを見逃すことはできないぞ。
決断してお願いすることに――。

そうこうするうち、料理が次々に運ばれた。
オレンジ白菜のピクルスというのは
オレンジと白菜のピクルスではなく、
薄っすらとオレンジ色を帯びた白菜のこと。
何の変哲もないが、冬場の白菜は旨いからね。

キリン・ブラウマイスターの生中がカラになり、
クリームチーズの赤ワイン味噌漬に
早くもバローロを合わせる。
クラシカルな凝縮感がさすがだ。
今宵のカッシーナ・フォンタナとの出会いは
思いも掛けぬ僥倖と言わねばなるまい。

真鯛の燻製はその燻香のおかげで
バローロに押し切られることがない。
牛肉のたたき・西洋わさび風味は
ドレッシングの甘みがわずらわしいが許容範囲。
願わくばホースラディッシュの個性を
前面に押し出してくれたほうがよい。
添える葉野菜もクレソンが望ましい。

さて、手打ちのパスタである。
同郷のポルチーニとバローロが喧嘩をするわけはなく
猪肉とネッビオーロの相性も悪いわけがない。
案の定、細打ちのタリオリーニも
太打ちのパッパルデッレも当夜のベストツーでした。
パッパルデッレにじゃが芋を混ぜ込むのは
シェフのアイデアだろう。
噛み応えのあるパスタなので、イタリア人には向いても
日本人の小さなアゴには荷が重いと考えたのかもしれない。

いくばくか残ったカッシーナ・フォンタナを
なおもいつくしむJ.C.を尻目に
相方はカタラーナ(プリンの氷菓)に無我夢中であった。
小判のありがたみを知らぬ小猫に罪はナシ。


【本日の店舗紹介】
「Pasta forest 20」
 東京都杉並区梅里1-21-17
 03-3314-7474

 
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2010年1月11日(月)

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