「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第920
冷え込みが厳しくて

北風吹きぬく寒い朝であった。
吉永小百合とマヒナスターズによれば
そんな寒い朝も心ひとつで暖かくなるはずだが
(われながら古いネ)
自然環境はそれほど甘いものではない。

肩先の冷たさに身震いして目覚めると、
すぐ脇では愛猫がクルリと身体を丸めて
平和に惰眠をむさぼっていた。
ベッドに上がってきても
暖かい季節ならヒトの足元で眠っていたのが
気温の低下とともに脇腹にピタリと密着するようになった。

おかげでこちらは不用意に寝返りを打てなくなり、
必然的に眠りが浅くなって、熟睡できないのである。
心なしか普段は凝ることのない首筋や肩までが重く、
ときには鈍痛を感じることさえある始末。
まっ、それはそれとして、
朝から寒いし、風は強いしで昼食は自炊することにした。
薩摩黒豚のバラ肉が手に入ったこともその一因だ。
というより、正直に白状すれば
前日からこの日のランチは自宅でと決めていた。
浅草は千束通りの「貝の店 にしむら」で
極上あさりもちゃんと買ってある。

米をといだらしっかり1時間ほど吸水させて
炊飯器のスイッチをオン。
せっかちだから、もちろん早炊きモードだ。
その日の献立はかくの如し。

 薩摩黒豚バラ肉の生姜焼き
 サラダ(きゅうり・にんじん・レタス)
 釜揚げしらすおろし
 小なす辛子漬け
 あさり味噌汁
 ごはん1膳

東京広しといえどもこのレベルのランチを供する店は
そうザラにはないぞ! と、自画自賛(バカですな)。

J.C.流の生姜焼きレシピはごく簡単。
殊にバラ肉の場合はフライパンに油をホンの少量、
それこそ目薬程度にしか引かない。
黒豚自身の脂でその肉を焼くスタイルは
中国の故事にならうと、豆殻で豆を焚くってヤツだ。
あとは火を止める瞬間に必殺のタレをからめるだけ。
必殺のタレだってたかがおろし生姜に
おろしにんにく少々を合わせ、醤油を注しただけのもの。
クッキングタイムは1分に満たないほどである。

薩摩の黒豚の旨みはさすがであった。
それ以上にすばらしかったのは、あさりの味噌椀。
「にしむら」のあさりを使ったら最後、
他店のあさりは食べられなくなる。
すでに砂が抜かれているのもありがたい。

大満足の昼食後、冷え込む日につき、
「横須賀ストーリー」の山口百恵を真似て
「熱いミルクティーでも淹れるべェ」とキッチンに立ったら
保温中の炊飯器の上に愛猫プッチが鎮座ましましていた。

おケツが熱くないのかな
photo by J.C.Okazawa

そこはJ.C.とて古い人間、
「食べものの上に乗っかるヤツがあるか!」と一喝。

叱られてうつむくプッチ
photo by J.C.Okazawa

ヤッコさん、シュンとしょげ返ったものの、
一向に降りる気配がない。

「豚もおだてりゃ、木に登る」って言うけれど、
「猫も寒けりゃ、器に登る」んですなァ。


【本日の店舗紹介】
「貝の店 にしむら」
 東京都台東区浅草3-10-5
 03-3874-3300

 
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2010年1月13日(水)

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