「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第927回
ラーメンで再出発

西浅草はビューホテル(国際劇場跡地)そばの
「大坂鉄板厨房 おくら」が閉店して早や半年。
J.C.の主催する「下町を食べる会」を
開催したこともあり、思い出深い店だった。
とん平焼きと砂肝ニンニク炒めが大好きであった。

オーナーシェフのK井サンから
閉店挨拶のメールをもらったときに
秋には家族の反対を押し切ってでも
ふるさと赤羽でラーメン店を始めたいと聞かされていた。
その節には一報あられたしとお願いしたのはむろんのこと。
ところがなぜか報せが届かぬまま、
代わりに風の便りが舞い込んだのである。
シャイな性格の持ち主だから
連絡するのが照れくさかったのかもしれない。

最寄り駅は東京メトロ南北線の志茂駅。
地上に出てすぐ目についたのは北清掃工場。
“北”は北区の“北”である。
ここの煙突は京浜東北線の車内から何度も目にした。
池袋・中目黒・高井戸と
都内に清掃工場の煙突は数あれど、
そのどれとも意匠が異なってこの煙突は
旧約聖書に登場するバベルの塔を連想させる。
夜空に浮かび上がる姿はまことに不気味だ。
W大理工学部教授の設計らしいが
J.C.は苦手ですね、こういうの、何だか怖くて・・・。

駅から10分ほど歩いて「らー麺Okura」に到着。
モダンで清潔な店内は女性客が目につく。
オバさんあり、キャピキャピギャル(死語ですネ)あり。
K井サン夫婦の物腰が柔らかく接客も丁寧だから
自然に女性たちが集まって来るのだろう。

ツレと2人で注文したのは
らー麺の醤油と塩に和牛すじ煮込みカレーのミニサイズ。
ほどなく出来上がったらー麺のまず醤油スープを一口。
想像よりずいぶんコッテリしている。
すかさず塩に移行してこちらが好みと判断したが
再び醤油に戻るとジワリ甘みが舌の上に拡り、これもよし。
中細でも中太でもない標準サイズのストレート麺は
浅草「開化楼」に特注しているそうで
食べ終わるまでそのコシを失わない。
全体像は昔ながらのラーメンと今風のラーメンが
お互いにせめぎ合っている感じ。

すじ煮込みカレーは食堂系や日本そば屋系ではなく、
あえてカテゴライズすれば、洋食屋系かな・・・。
カレーに本腰を入れる喫茶店系と言えるかもしれない。
ほかほかっとしたライスの食感が印象的だ。

らー麺は塩・醤油ともに700円と適正価格。
そこそこボリュームのあるミニカレーの300円は破格。
両方頼んでちょうど千円札1枚とキリがいい。
らー麺もカレーも水準を軽くクリアしているが
やはり浅草時代のとん平焼きが忘れられない。

今さら死んだ子の歳を数えても仕方がないから
赤羽・十条方面の大衆酒場に出掛けたときは
帰りに立ち寄るつもりでいたら、らー麺は1日50食限定で
夜は早い時間に売切れてしまうとのこと。
それなら行きがけの駄賃と思ったものの、
ラーメンをすすってから酒場というのも何だかなァ。


【本日の店舗紹介】
「らー麺Okura」
 東京都北区志茂1-10-1
 03-3903-9950

 
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2010年1月22日(金)

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