「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第928回
大相撲のゆくえ

大相撲初場所は意外や意外、
14日目で早くも朝青龍の優勝が決まってしまった。
白鵬が角界の第一人者となった今、
この展開だけは専門家も読めなかったに相違ない。
天敵の内館牧子サンが横審委員を人気満了で退任するから
それに力水を得たわけでもあるまいが
優勝した本人が一番驚いているのではなかろうか。

何もかもが想定の範囲外だった。
今場所最大の番狂わせは
魁皇がとったりで白鵬を破った一番だろう。
白鵬にしてみれば最大の安全牌に足元を救われたのだ。
日馬富士のような“牛若丸タイプ”は
相撲の流れの中で奇襲を仕掛けてくるから
取りこぼしもじゅうぶんにあるけれど、
魁皇のような力士にはそれがない。
たとえあの小手投げやとったりが
非常に危険であるとしてもだ。
結果的にあの敗戦が致命傷となった。

それにしても今場所は話題が満載。
昨年、1年を通して4敗しかしていない横綱が
1場所で3敗も喫するとは誰も想像できなかった。
魁皇の幕内通算勝利数の記録達成、
千代大海の引退、把瑠都の躍進、
土俵の外では貴乃花の理事選出馬問題、
実にいろいろあった中、
そのどさくさに紛れて優勝したのが
朝青龍といってはあんまりだろうな。

いずれにしろ今後、こんなカタチでの優勝は2度と望めまい。
白鵬が巻き返してくるに決まっている。
千秋楽の結びの一番では
やはり今場所も白鵬が朝青龍を圧倒した。
強すぎて土俵への興味を失いかけたところだったので
3敗はちょうどいい塩梅だったかもしれない。

ただ、モンゴルの2人の横綱は
かつてのハワイの2人の横綱と異なり、
馬鹿デカい図体の圧力で相手を蹴散らすタイプではなく、
日本人力士以上の相撲巧者だから短命で終わることはない。

腰高クンの把瑠都が大関に昇進するのは時間の問題。
となると、相撲界のトップ5がすべて外国人になりかけない。
いや、それは規定路線なのだ。
稀勢の里はいつまでたってもあんな調子だし、
体重を増やしてきた安美錦は
いまだに立会いにケレン味がありすぎる。
小兵には許されるケレンもデカい力士がやるとみみっちい。

小兵といえば今場所健闘した垣添には拍手を送りたい。
魁皇にはねじふせられ、把瑠都には引っ張りまわされ、
殊に把瑠都の“大逆手”ってありゃいったい何だい?
あんな技は初めて見たし、初めて聞いたぞ。
軽量の垣添にしてみれば
「オレ、もうやってられないよ!」が正直なところだろう。
相撲は柔道みたいに体重別の競技じゃないからなァ。

うれしかったのはヒイキにしている桐山部屋の
東十両筆頭・徳瀬川の勝ち越し。
9勝6敗だから来場所の新入幕は間違いない。
前頭上位との対戦も見込まれる。
荒波にもまれて、ぜひもう一皮むけてほしい。
彼もモンゴル出身だから
もしこの暮れに幕内に定着していたら
桐山部屋年末恒例のちゃんこ会をやめて
ジンギスカンでパア〜ッといきたいな、パア〜ッと!

 
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2010年1月25日(月)

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