第951回
カシミールで汗びっしょり(その2)
カレー食い仲間のS山氏と湯島天神下のカレー店、
「デリー上野本店」に来ている。
地番は湯島ながら、上野広小路からも近い。
右手でスプーンをにぎり、
カシミールカレー・プレミアムをまず一口。
「ウッ、ウウゥ、アッ、アアァ!!」――めまいがした。
口中のモノを嚥下できずに、しばし言葉を失う。
なぜって、トンデモなく辛いんだな、これが!
まっこと辛味度・5ツ星、恐るべし。
「デリー」のカシミールカレーは以前にも食している。
辛さは熟知しているつもりだが
まさかこれほどだったとは・・・。
プレミアムはレギュラー以上に辛いのだろうか?
いや、そうではない、突き詰めると原因はその温度にあった。
開店直後でライスが炊き立ての熱々だった上に
カレーの到着と同時にガッツいたので天罰てきめん。
あわてて冷たい水を流し込んでも
辛味はそう簡単に舌から消去されない。
カレーソースの量もたっぷりとあり、
このぶんだとライスが足りなくなりそうだ。
辛さのせいで次第に汗が噴き出してくる。
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プリッとしたさつま赤鶏もも肉
photo by J.C.Okazawa
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プレミアムだけに鶏肉がゴロゴロと入り、
パサつきもなく優れた肉質のチキンである。
ただし、黄色いポテトのインカのめざめは
別段、どうということもない。
これなら男爵やメイクイーンでじゅうぶんだし、
むしろじゃが芋はなくてもよいくらい。
続いてストロングドライカレーに挑む。
カシミールの辛味がまだ舌に残留していて
微妙な味の区別がつきにくい。
パラリと炒まったライスの口当たりのよさだけは感じた。
ベチャッベチャのピラフや炒飯はいただけませんものネ。
ドライカレーもそれなりの辛さを内包しており、
汗に加えて鼻水まで流れ出す始末。
汚いハナシで恐縮だが、もうグショグショなのである。
何度、ポケットティッシュのお世話になったことか。
その間にも接客係がたびたびお冷やを注ぎ足してくれる。
こうまで辛いと水ナシじゃ、完食は不可能に近い。
ドライカレーもカシミールのソースも
だんだんと冷めてきて、味がハッキリと判るようになった。
先刻まで感じられなかったカシミールの味わいを
味覚が感知するようになったのである。
ちょいと冷ましてから食べればよかったと
今さらながらに思ってもすでにあとの祭りである。
仕方がないから余り気味のカレーソースを
ドライカレーに掛けてみた。
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ダブルの旨味が味蕾(みらい)をヒット
photo by J.C.Okazawa
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これはこれで実によろしい。
何やかやで2枚の皿と1つのソースポットが空になる。
喉元過ぎて忘れるのは熱さばかりではなく、
辛さもまたしかり、のようだ。
近い将来、この店のカレー全種目を制覇したくもなった。
しかるにわが肉体は汗びっしょりにして
目の前のお皿はこの通りである。
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再び汚くてスミマセン
photo by J.C.Okazawa
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ティッシュがとうとうなくなっちゃったぜ。
やれやれ・・・。
【本日の店舗紹介】
「デリー上野本店」
東京都文京区湯島3-42-2
03-3831-7311
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