「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第976回
生き物たちのいる情景

智恵子は東京に空がないと言ふ
ほんとの空が見たいと言ふ

高村光太郎のこの詩は昭和3年の作。
光太郎に言わせれば、当時の東京の空は
智恵子の嘆きとは裏腹に澄み切っていた。

だが、
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ

智恵子の目に映った東京の空は
すでに濁り汚れていた。

あれから80年あまり経ち、
東京の空気ははなはだしく汚染されたが
緑地だけはまだ各所に点在している。
23区内に公園や庭園はずいぶん残されているのだ。

一般市民オフリミットの皇居や御用地は別として
都心で最も面積が広いのは代々木公園。
次いで新宿御苑、上野恩賜公園、浜離宮恩賜庭園の順。
あとは日比谷公園と小石川植物園がほぼ同じサイズ。

俗称・エンコの由来となった浅草公園は
すっかりその緑を失ってしまった。
それこそリーブ21かアデランスのケアが必要なくらい。
もう公園などと誰も呼ばない。
ただ1箇所、伝法院だけに緑が残っているのに
この庭園が庶民の入園を
拒んでいる(NHKの番組でタモリは入ってた)のは
皮肉というより、愚か極まりないハナシ。
昔から“お上”と“お坊”のやることは
まったくもって“マッタク”なのである。
都は固定資産税でも課したらどうだ!

もっとヒドいのは芝公園。
東京オリンピック以前は増上寺の広い境内と
公園の深い緑が美しいコントラストを見せていた。
(小学生のときに見ただけなので残像はボンヤリ)
徳川家ゆかりの名刹も今では
辛うじてその伽藍を残すばかり。
進駐軍でもあるまいし、ほとんどの土地を
プリンスホテルに“接収”されてしまったのである。

J.C.が好きな東京の公園は日比谷公園。
昔から老若男女を問わず、
都民に絶好のデートスポットを
提供し続けてくれているのがこの場所だ。
今でも月に1度は感謝の念を抱きつつ、訪れる。
青春時代は主に夜の訪れだったが今では100%昼。
時は流れたのである。

先日は図らずも公園で多くの生き物に出会った。
水辺の鳥はみな心字池で見掛けたものである。

カルガモのカップル
photo by J.C.Okazawa


水生動物を待ち伏せるコサギ
photo by J.C.Okazawa


蓑笠をまとったような姿のアオサギ
photo by J.C.Okazawa


舞い降りてカメラを凝視するカラス
photo by J.C.Okazawa


“公園常駐者”のペットとなった猫
photo by J.C.Okazawa

カラスと猫はともかくも大都会の真ん中に
これほど多くの生き物が棲息しているとは驚きだ。
もっと驚いたのはお隣りの皇居に
オオタカやノスリが定住していること。
おかげでカモ類が怯えて飛来しなくなり、
サギ類の繁殖も見られなくなったそうだ。
だとしたら、お濠のスワンは襲われないのだろうか。
♪ 悲しい姿 スワンの涙 ♪
ちょいと心配である。

 
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2010年4月1日(木)

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