「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第979回
乞食鶏に群がる者たち(その2)

下井草の「皇蘭」でクラゲ・焼き餃子・海鮮炒めを
15年物の紹興酒とともに味わっている。
ここでお待ちかねの乞食鶏が登場した。
マダムのご指名により僭越ながら
J.C.が鏡開きの大役?をおおせつかった。

粘土で固めて焼き上げられた乞食鶏
photo by J.C.Okazawa

一同、“お乞食様”の周囲に群がり、
携帯だのデジカメだの、フラッシュの雨あられである。
その人気たるや、仁川空港に凱旋したキム・ヨナの如し。

蓮の葉の衣を脱いで名古屋コーチンが姿を現した。

この1羽を8人で分け合う
photo by J.C.Okazawa

シェフが丁寧に解体して均等に切り分けてくれる。
寸分もらされることなく、閉じ込められた滋味に舌鼓。
立派なサイズのコーチンも
群狼の如き八人衆が寄ってたかってむさぼったのだ、
骨だけを残し、身肉はきれいに無くなった。
各自、もうちょっと食べたい気持ちを押し隠し、
いかにも満足したような偽りの表情を作るが
互いが互いの心を見透かしているから
いささか滑稽な光景が拡がる

乞食鶏の名残りを惜しむ間もなく、五目野菜炒めが運ばれる。
やはり野菜はキチンと摂取しないといけない。
2本目の紹興酒は10年物に代えて5年物を。
口当たりがやや粗暴になったのは仕方ないとして
これはこれで料理への協調性を失ったりはしない。

締めにはこれもまたS子サンが
注文してくれていた、かきつゆそばである。
寒い時期、「皇蘭」の定番はこれだ。
おのおのハーフサイズを賞味する。
ハーフといえどもプックリと肥ったかきが3粒入り。
ボリュームじゅうぶん、美味しさいっぱいである。

この冬は根津「鷹匠」、日暮里「川むら」の牡蠣南蛮、
有楽町「レバンテ」の牡蠣スパゲッティ、
牡蠣を主役に据えた和洋のヌードルを楽しんだ。
海のミルクと麺類との相性のよさをあらためて実感する。
同じ貝類でも帆立あたりには荷が重過ぎ、
これは牡蠣ならではの芸当ではなかろうか。
貝の王者格、あわびや赤貝にしても
牡蠣ほどの多様性は持ち合わせていない。

普段はとらないデザートをいただく気になった。
なめらかな杏仁豆腐で本日の打ち止めだ。
店主夫妻に見送られ、夜の中杉通りを阿佐ヶ谷へと戻る。
有志による二次会は「ASAGAYA CAFE」である。

2週間後のこと。
荻窪から日大通りを東進したJ.C.は中杉通りを左折。
再び「皇蘭」の前を通って今度は鷺ノ宮に向かった。
向かってはみたが、狭い歩道が歩きにくいことはなはだしい。
前からやって来る自転車に道を空けるため、
こちらはそのたびに車道に降りなくてはならないのである。
歩道と車道に段差があって自転車には厄介なのだ。

でもこれって、本末転倒じゃないかなァ。
そもそも先進国を自認する国の中で歩道を自転車が
我が物顔で疾っているのは日本くらいのものだろう。
どうしてこんな状態になっちまったんだか、
この国はいまだにインフラ整備途上国なのだ。
何とも嘆かわしいこって・・・。

【本日の店舗紹介】
「皇蘭(おうらん)」
 東京都杉並区下井草1-13-14
 03-3330-2300

 
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2010年4月6日(火)

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