「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第981回
“しぞーかおでん”って 何ざんしょ?

むむっ? しぞーかおでん?
What is this ?
Qu’est-ce que c’est ?
何のことやらまったく判らなかった。
四造顔伝かな、それとも死象化御殿かしら。
いったい何のこっちゃろ?

何のことはない、静岡おでんであった。
静岡県人は自県を“しぞーか”と呼ぶのかね。
以前、静岡市内のおでん横丁で
ご当地自慢のおでんを食べたことがある。
黒いでんつゆに黒いはんぺん、
その上にだし粉と呼ばれるいわしの削り節を
たっぷり振り掛けて食するのだが
けしておいしいものではなかった。

土台、魚粉の類いが嫌いだから
こういう食べ方が好きになれる道理がない。
静岡・山梨の県境一帯の名物、
富士宮焼きそばも同様にいわしの粉を掛けて仕上げる。
大小取り混ぜて、いわしがバカスカ獲れるお国柄、
地産地消の意味合いも込められているのだろう。

東京下町のおでんとも違うし、
関西でポピュラーな関東炊きとも異なる。
いずれにしろ食味において
そのどちらよりも劣るのである。
少なくともJ.C.の舌はそのように感知した。
駿河の人、遠江の方、こらえてつか〜さい。

今回再び、このおでんを食べたのは静岡ではなく、
新宿3丁目の「西尾さん」という変わった名前の店。
店主の西尾さんがたった一人で取り仕切る居酒屋は
知る人ぞ知る、知らない人は知らない、それでも
なかなか予約の取りにくい人気店。
美味しい料理と店主の気配りが魅力だという。

日曜日の夕まぐれ。
19時過ぎには席を空ける約束で2名の予約が取れた。
サッと切り上げなければならないから
腰を落ち着けるつもりは毛頭ない。
お通し代わりのサラダはお替わり自由のセルフサービス。
永谷園の梅茶漬けの素が用意されていて
これをサラダに掛けるとイケるのだそうだ。
でも、何だかなァ。

くだんのしぞーかおでんもセルフである。

お好みで串を取るシステム
photo by J.C.Okazawa

われわれが選んだのは
玉子・ミックス・野菜さつま・黒はんぺん。
ミックスというのは「おそ松くん」のチビ太が
いつも手にしているような団子状の串刺しで
内容はこんにゃく・白滝・ナルトの三兄弟。
ほかには大根と鳥皮があった。
ご多分にもれず、だし粉が用意してある。
結局、今回もどこがどう旨いのかさっぱり判らなかった。

千住ねぎをただ焼いただけの千寿ねぎ焼き。
タレが自慢のジンギス豚(トン)。
西尾さんには悪いが、いずれもイマイチである。
もしもこの店が下町の居酒屋であったなら
とても大衆ウケするとは思えない。
しかるに新宿の若者の熱い心はガッチリつかんでいる。
やはり店主の西尾さんの人柄によるところが大きいのだ。
あまりにも客に気を使いすぎて
こちらがちょっと疲れてしまうキライはあるけれど・・・。


【本日の店舗紹介】
「西尾さん」
 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル3号 B1
 03-3358-6625

 
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2010年4月8日(木)

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