第989回
食べ放題のイスラエル料理
知る限り、都内には2軒しかないイスラエル料理店。
西武池袋線・江古田駅の商店街にある「シャマイム」と
三田の慶応大学に近い「デビッド・デリ」である。
ニューヨーク時代にはたびたび訪れたが
ここ東京では初めてのイスラエル料理、
今回は「シャマイム」を訪問した。
桜が満開の暖かい土曜日。
こんな日に出歩かない無精者は生まれてきた価値がない。
夕刻には江古田に到着している予定だから
逆算して散歩ルートを思い描いてみた。
ちなみに江古田は池袋から西北西に進路を取り、
およそ5キロ弱の距離に位置する。
午後2時に降り立ったのは有楽町線・氷川台。
秋田の田舎に引っ込んでしまった弟分が
かつてこの町に暮らしていたので
一時帰国の際には何度か一宿一飯の恩義に浴した。
彼ら夫妻の住んだマンションは石神井川のほとりに今も健在。
薄紅色の花びらをつけた桜の枝々が競い合って
マンションの前の川面に伸びている。
春爛漫とはこのことを言うのだろう。
都の西北、いわゆる城北には台地が多い。
氷川台を南下すると、今度は桜台である。
その名の通りに桜並木が目につく。
西武池袋線・桜台の南側を線路と平行して走っている、
千川通りを真東に進めば、そこが江古田である。
その途中、人家の生け垣に美しい花を見とめた。
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自然界には稀少な色ではなかろうか
photo by J.C.Okazawa
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奇特なことに案内札が通行人のために
photo by J.C.Okazawa
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コウゾやミツマタが和紙の原料になることは小学校で習った。
でも、散歩の途中で
ミツマタを見掛けることはなかったように思う。
帰宅して調べてみると、
自然界のミツマタはおおむね黄色い花をつけるらしいが
園芸種にはオレンジや朱色のものがあるという。
写真の品種は赤花三椏(あかばなみつまた)と言うのだそうだ。
さて、さて、やって来ました江古田の「シャマイム」。
着時間は午後4時を回った頃。
通し営業のこの時間帯に客の姿は見えない。
多彩な料理を一通り味わえる食べ放題コース(2100円)が
手っ取り早かろうとお願いした。
飲みものはイスラエル産ビールのマカビーである。
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マカビー社製のグラスにはヘブライ語が
photo by J.C.Okazawa
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独特の風味を備えていてもスッキリ飲めるタイプであった。
料理は順に、トマト&ひよこ豆のスープ、ピタパン、
フムス(ひよこ豆のペースト)、鶏肉のシュニッツレル、
ファラッフェル(天豆のコロッケ)、
にんじん・キャベツ・マッシュルームなどの小サラダが5皿、
鶏肉とラム挽き肉のカバブ(串焼き)、
マジャドラライス(レンズ豆入りライス)であった。
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マジャドラライスの上に2種類のカバブ
photo by J.C.Okazawa
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全体的にガーリックが利いており、ハリッサも添えられる。
ハリッサは赤唐辛子とガーリックに
スパイスを加えた薬味のことである。
北アフリカの、取り分けチュニジアで愛好されるハリッサが
イスラエル料理にも使われているとは知らなんだ。
ただし、本場のものより辛さはずっと抑え目。
食べ放題といえどもお替わりするつもりは毛頭ない。
むしろ最初から全品少なめでリクエストした。
そこそこの満足感を伴ってお勘定となったが
このまま江古田の町をあとにするJ.C.ではなかった。
そのために若干の余裕を胃袋に残しておいたのだ。
【本日の店舗紹介】
「シャマイム」
東京都練馬区栄町4-11アートビル2F
03-3948-5333
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