第994回
きんぴらごぼう
=男の手抜き料理シリーズ第13回=
久々に男の手抜き料理いきます。
今回は石原裕次郎の大好物だったという、
きんぴらごぼうを取り上げる。
漢字で書くと金平牛蒡である。
はて、この語源はいったいどこにあるのであろう。
♪ まさかり担いで金太郎
熊にまたがりお馬の稽古 ♪
1900年に発表されたこの童謡で有名なのが
ご存知、金太郎こと坂田金時である。
彼の息子に坂田金平(きんぴら)という人がいた。
何でもこの人、親ゆずりの豪勇無双を誇ったそうだ。
もともとごぼうは精力のつく根野菜。
油や唐辛子が加わることでいっそうの栄養価も生まれる。
かくして強い金平にあやかって名付けられたきんぴらごぼう。
となればこの料理、父親の名をとって
きんときごぼうになっていたかもしれない。
親のほうがずっと通りがいいし、第一もっと強そうだ。
もっともこちらは金時豆にその名を残している。
いくら“手抜き”といえども
ビニール袋に水と一緒に入っている市販品はいただけない。
味がガクンと落ちるからだ。
手を抜くにも限度というものがある。
それでは、アラ・キュイジーヌ!
(1)用意するのは、ごぼう・・1本
にんじん・・ごぼうの1/6 唐辛子・・1本
砂糖・醤油・胡麻油・・適宜 日本酒・・少量
(2)ごぼうとにんじんをマッチ棒の太さに切る。
市販品の半分くらいの太さである。
アクが出るごぼうは切ったらすぐに酢水に放す。
唐辛子はあらかじめ刻まれたものでもよいし、
丸のまま1本でもよい。
好みの辛さに調節して、取り出しやすい丸がおすすめ。
(3)中華鍋に胡麻油と唐辛子を投入し、
油煙が上がったら、まずごぼうから炒める。
およそ1分後に砂糖を振り、にんじんを加え、
日本酒を振りいれて、さらに炒める。
ここで醤油を注し、そろそろ唐辛子を除去。
(4)シャキシャキ感(これが大事)を残したまま、
仕上げにもう1度、鍋肌から胡麻油を少々。
好みでラー油を足しても結構。
以上で出来上がり。
ポイントはくれぐれも炒め過ぎないこと。
固いぶんにはラップして数十秒チンすれば済む。
きんぴらはあくまでも炒め物、けっして煮込んではならない。
調味料の量?
そんなものは適当でいいでしょう。
ここで手を抜かずに、どこで抜くことができましょう。
女性をバカにするつもりはないが
チマチマと分量を計っているのを見ると、
「ああ、オンナの料理だなァ」と思ってしまう。
オトコは細かいことをいちいち気にしてはイケナい。
そんなことだと、火事のときやなんかに
一番大事なモノを持ち出せない、情けない人間になってしまう。
とにかく自分の舌を信じるのが一番。
ん? 舌に自信が持てないってか?
それならそれでもっと手を抜いて適当に作ればよろしい。
どうせ旨い不味いが判断できないワケだから・・・。
と、言っちまっては元も子もないか。
応用編として蓮根や独活(うど)のきんぴらも推奨できる。
J.C.の好みの味付けは
蓮根は甘めの濃いめ、独活はしょっぱめの薄め、である。
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