「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1005回
たそがれのリトルイタリー(その2)
=れすとらん しったかぶり=
あのころのニューヨークシリーズ(5)

1994年、W杯アメリカ大会の1次リーグ、
イタリア―ノルウェー戦はキックオフ後まもなく、
イタリアのGKが反則でPKを与えた上に一発退場。
GKナシでは戦えないのでまずGKが補充される。
当然、ほかの10人から1人外れるわけで
これがロベルト・バッジオという悲劇。
親イタリア派で埋め尽くされたスタンドのあちこちで
「マンマ・ミーア!!」の悲鳴が上がった。
バッジオの華麗なプレーを観にきたJ.C.もガックシ。
ああ、情けなや!

気を取り直して昨日のつづきいきます。

リトルイタリーの “Angelo’s(アンジェロス)”。
料理は南イタリア色が強いがそれほどのこだわりはない。
パスタは何を頼んでもハズレなし。
ヴォンゴレ・カルボナーラ・ボロネーゼ、みな正統派の仕上がり。
スパゲッティ・アリオ・エ・オリオのニンニクに驚嘆した。
ニンニクが塊りで30個もあったのだ。
こればかりは日本人シェフには真似ができないだろう。

この店は仔牛の臓物に力を入れており、
レバーやキドニーだけでなく、
アニメーリ(胸腺肉)やチェルヴェーリ(脳みそ)も揃う。
おすすめは仔牛のフィレンツェ風。
溶き玉子にくぐらせたホウレン草を薄切りの仔牛が包みこみ、
しっとりとした食感に仔牛のストックとレモンのソースが
ほどよく絡んで舌をふるわせる。

もう1軒は「Il Cortille(イル・コルティール)」。
“中庭”を意味する店名通りに、すてきな中庭を備えた名店だ。
昼下がりに訪れるとダイニングは太陽がいっぱい。
南イタリア料理店が多いエリアにあって
この店は北イタリア色が強い。
蟹肉たっぷりのスパゲッティ・コン・グランキは
ヴェネツィアの名物料理。
マンハッタンでもっともおいしいパスタの1つだ。

チャイナタウンに押されっぱなしのリトルイタリー。
奮闘したイタリアチームから精気をもらって
もうちょっと頑張ってほしい。
“フォルツァ・ピッコラ・イタリア!”

16年も前なのにリトルイタリーは
すでにチャイナタウンに侵食されていた。
中国マフィアがイタリアマフィアを駆逐したのである。
イタリアのマフィアには暗黙のルールがあって
お互いの家族はアンタッチャブルなのに対し、
中国のマフィアは家族にも攻撃の手を伸ばす。
これにはイタリアのマフィアが震え上がった。

中国マフィアが刺客として使ったのは
ベトナム戦争時に“北”と戦った“南”の兵士。
さしものコーザ・ノストラもプロの兵隊にはかなわない。
この頃からチャイナタウンにベトナム料理屋が増え出したのは
戦功に対する恩賞なのだろう。

はかない夢なれど、日本代表には何としても
決勝トーナメントに勝ち進んでほしい。
いくらオランダが強いといっても
銃器を手にしているわけじゃなし、
旧南ベトナムの兵士ほどではなかろう。


【本日の店舗紹介】その1
「Angelo’s」
 146 Mulberry St
 212-966-1277

【本日の店舗紹介】その2
「Il Cortille」
 125 Mulberry St
 212-226-6060

 
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2010年5月12日(水)

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