「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1007回
松戸はステキな街だった!

1970年代後半から千葉県の松戸には7年ほど棲んだ。
松戸と言われても首都圏在住でない方は
ピンとこないだろうが
フーテンの寅さんで有名な葛飾・柴又と
江戸川をはさんで対峙するのが松戸である。

世に知られる「矢切の渡し」の矢切は松戸市の一角。
正しくは濁らずに“やきり”と発音するが
大ヒットした歌謡曲のおかげで全国的に
“やぎり”のほうがポピュラーになった。
伊藤左千夫の小説「野菊の墓」も矢切が舞台だ。

GWのある日、松戸市・八柱の霊園に墓参り。
なんとものどかな園内は好天に恵まれ、
緑の広場はピクニックの家族連れでいっぱいだ。
バドミントンに興じる若いカップルがあれば、
サッカーボールを追いかける子どもたちもいる。

この日は墓参後、陽の高いうちに訪ねる場所があった。
以前、平潟遊郭のあった松戸の旧市街である。
そこから角町へと続く街道筋や
松戸神社界隈を散策する腹積もり。
旧水戸街道沿いに古い町並みが多少残っていると、
聞いたことはあっても聞き流していたのが実情。
2ヶ月ほど前、たまたま業平橋の「松竹」で飲んだときに
女将の実家が角町に古くから続く煎餅屋と聞いて
興味が起こり、足を延ばす気になったのだ。

いやあ驚きましたね。
遊郭跡はかろうじて1本だけ残った柳の木と
裏手を流れる坂川のほかにさして見るものがないものの、
旧街道にはまだまだ古い商屋が残っていて
道行く人の目を楽しませてくれる。

さっそく目についた和菓子屋で買い物である。

大正3年創業の「栄泉堂 岡松」
photo by J.C.Okazawa


松戸そだち・味噌まんじゅう・柏餅の3品
photo by J.C.Okazawa

3つ買っても500円でオツリがきた。
あずき餡が売り切れてしまった柏餅は味噌餡。

続けて街道筋のスナップを3点。

「岡松」の向かいの仕舞屋、何を商っていたのか?
photo by J.C.Okazawa


角町に向かう途中にあったオシャレな葬儀屋
photo by J.C.Okazawa


角町交差点の脇を流れる坂川に架かるめがね橋
photo by J.C.Okazawa

松戸に7年も棲んでいてこんなにステキなスポットを
ほったらかしにしていたのでは宝の持ち腐れ。
まったく何をやってたんだろうね。

松戸唯一の百貨店「伊勢丹」は数え切れぬほど訪れた。
なのに、そのすぐ裏手に拡がる松戸神社一帯には
一歩も足を踏み入れたことがなかった。
この辺りはちょいとした水の都で
しかも都内各地に散見される親水公園とはわけが違う。
取ってつけたような造り物など足元にも及ばぬ、
そこはかとない情緒が漂っている。
坂川沿いは今まさに新緑がしたたるようであった。

すぐそばの「伊勢丹」には何度も来たのに
photo by J.C.Okazawa

若い時代を過ごした松戸の街には相応の思い入れがある。
ずいぶん遠回りをしたけれど、
遅ればせながらこの街のエッセンスに
ふれることができて本当によかった。


【本日の店舗紹介】
「栄泉堂 岡松」
 千葉県松戸市松戸1809
 047-362-2535

 
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2010年5月14日(金)

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