「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1025回
「馬力」の赤ホッピー、「白鷹」の生ソース

もう20年も前のこと。
米国から出張や休暇で帰国した際、
風俗街・錦糸町を常宿とした時期があった。
場外馬券売り場のある駅南口一帯には
タイ人ホステスを抱えるキャバレーが林立して
仕事を終えた彼女たちが深夜の公園に集まっては
おしゃべりに興じる姿をちょくちょく見かけたものだ。

旧ソ連系、おそらくカザフスタン辺りだろうが
白色人種ともアジア系ともつかない女性が
夜の錦糸町に目立ち始めたのもその頃だった。
こう見えても風俗にはまったく興味がないから
詳しい事情は存ぜぬが
この世界にも女の子の流行り廃りはあるようだ。

最近、絵錦糸町で驚くのは風俗店の呼び込みのすさまじさ。
日本人・外国人(肌色のダークなオニイさんが多い)、
入り混じって、通りすがる“客”に誰彼となく声をかける。
興味のない人間にはうっとうしいことはなはだしく、
東京でも有数の歩きにくい街がここである。

夜にゴッソリ金が動くのはやはりフーゾクだろうが
明るいうちに大金が落ちるのは馬券売り場だ。
駅前に展開する鮮魚店「魚寅」も終日、
客が引きも切らないけれど、馬券には到底かなわない。

ところで売り場の裏手にその名も「馬力」なる居酒屋がある。
多種多彩なメニューが自慢で酒類ともどもとにかく安い。
朝から飲めるのが競馬好きにはありがたく、
馬の疾らない平日ですら昼前には店を開けている。

「馬力」に立ち寄ったときはもっぱら
赤ホッピーを飲んでいる。
正式名称は55ホッピー。
ホッピー発売55周年を記念して作られた、
ストレートでも飲める新商品。
のど越し・あと味のスッキリ感が特徴だ。

ラベルもスマートに生まれ変わった
photo by J.C.Okazawa


海洋深層水を使用してプリン体ゼロ
photo by J.C.Okazawa

もっともアルコール分0.8%では
そのまま飲むにはもの足りなく、ビールのほうがいい。

J.C.はキンミヤ焼酎と氷をジョッキに入れ、
上から赤ホッピーを注いで飲んでいる。
つまみは生モノよりも炭火の焼き鳥がマッチする。

左からネギマ・ハツ・コツネ・豚シロ
photo by J.C.Okazawa

この店は焼きとんよりも焼き鳥がよく、
豚シロは焼きとん専門店に遠く及ばない。
柚子胡椒を添えた牛すじ煮込みはオススメだ。

過日、高校の同期生で衆議院議員の東祥三が主催する
経済セミナーが錦糸町のホテルで開かれ、顔を出したあとで
同席したクラスメートのY介クンと近所の「馬力」を再訪。
馬力豆腐(にんにくバター醤油味)やカツ煮を
次々と平らげるY介の健啖家ぶりに圧倒されながらも
昔話に花を咲かせ、楽しいひとときを過ごす。

ホテルを出たときからずっと気になっていたのは
腕にズシリとくる引き出物。
かなりの重さにガラス器でも入っているのかと
想像していたが帰宅後、開けてビックリ玉手箱。
昭和6年創業、白鷹ソースの詰め合わせではないか!
それも非加熱の生ウスター&生中濃ソースだ。

ありがたや、ありがたや、翌日早速、近所の精肉店で
男爵芋のコロッケとアジフライを買って来た。
ものはついでに千切りキャベツも一袋。
ロング缶のビールをプシューッと開けて
男爵には中濃、アジにはウスターを掛けていただくと、
このソースの旨いこと、旨いこと。
非加熱のおかげかキレ味がまるで違うのだ。
この引き出物を選んだのはまさか東クンじゃぁ、あるまいな。
おそらく令夫人の適切な裁量の成せるワザ、
内助の功、ここに極まりを見せたり。


【本日の店舗紹介】その1
「馬力 錦糸町本店」
 東京都墨田区江東橋3-5-2
 03-3631-2989

【本日の店舗紹介】その2
「白鷹ソース」
 東京都江東区住吉2-7-8
 03-5646-6160

 
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2010年6月9日(水)

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