「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1030回
天丼の仇(かたき)をもりそばで?(その2)

開業まもない根津のそば店「杉むら」で
天丼に箸をつけるところだ。
“箸どり”が重いのはどんぶりをおおう天種のせいである。
その陣容はかくの如し。
 海老・きす・いか・グリーアスパラ・かぼちゃ
魚介類3種はほぼ定番の顔ぶれながら
種質に光るものとてなく、いかにも凡庸。
問題は野菜の天ぷら、いわゆる精進揚げにあった。

ちなみにJ.C.の好む現時点での
野菜天ぷらBEST5のランキングは
 (1) 絹さやえんどう
 (2) 小玉ねぎ
 (3) どじょういんげん
 (4) パセリ
 (5) 小茄子

第4位のパセリは極めて珍しいものだが
日本橋本町の老舗天ぷら店「てん茂」は
これを名物の1つにしている。

それでは、食べられないということはなくとも
WORST5はどうであろう。
 (1) かぼちゃ
 (2) グリーンアスパラ
 (3) ぎんなん
 (4) しいたけ
 (5) さつま芋

そば屋「杉むら」には何の怨みもございやせんが
よりによってWORST1&2が揃い踏み。
泣きっ面に蜂って実際にあるんですなァ。

しかもここの天丼のスタイルは関西によくありがちな
薄めの丼つゆを上からサラサラと掛け回したヤツ。
これがまた、好みにまったく合わないのであった。
関東界隈でサラサラいってよいのは
“春の小川”くらいのものなのだ。
丼つゆはやはり下町風の甘っ辛っくて“濃ゆい”のがいい。
そこに揚げ立ての天ぷらをジュッともぐらせて
ごはんの上に乗っけ、ごはんにはつゆを掛けないのが王道だ。

その日はそばを食べなかった。
そば屋に来てそばも食べずに
天丼だけで評価を下しては無謀だろう。

およそ2ヶ月後の昼に再訪した。
平日につき、11時〜15時のランチ限定メニューから
 若鶏ねぎ塩丼(小)+もり・かけ 850円
というのをもりそばで頼んだ。

10分後に登場したランチセットは

もりの薬味はきざみねぎ&ニセわさ
photo by J.C.Okazawa


若鶏は塩焼きではなく、またもや天ぷら
photo by J.C.Okazawa

もりは予想通りながら、若鶏は想定の範囲外。
それもちと火を通しすぎた感のある胸肉ばかりなり。

驚いたのはもりそばのツルツルとした舌ざわりだ。
しかも歯でつかまえて噛もうとすると
なぜか歯から逃れようとするその逃げ足の速さ。
やっと捕らえてモグモグやっても粉々感が微塵もなく、
極論すれば輪ゴムを噛むような味気なさ。
この世に生まれ出でてから
何千回もそばを食してきたがこんなのは初めてである。
一食に値する珍品といえども、
天丼の仇をそばで討とうと目論んだ野望は見事に砕かれた。


【本日の店舗紹介】
「杉むら」
 東京都文京区根津2-19-2
 電話:ナシ

 
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2010年6月16日(水)

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