「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1031回
友あり、遠方より来る(その1)

東京において良質な大衆酒場のメッカとなると、
まず浅草―北千住間の東武伊勢崎線沿線。
続いて門仲・木場・菊川・森下が構成する深川四角地帯。
そして王子・十条・赤羽を結ぶ北区二等辺三角地帯。
J.C.的にはこれらを称して三大聖地と決めている。

都心から西へ延びてゆくJR中央線&西武新宿線沿線は
その質・CPともにだいぶ見劣りがしてしまう。
単独でも都会と呼べる新宿・渋谷・上野・池袋には
これといった佳店が数えるほどしかない。
オヤジのホームグラウンド、
神田・新橋界隈も何だかなァ、なのである。
むしろコンパクトな町屋・立石に優良店が点在している。

ある晩にあちこちから友人が集まって三大聖地の1つ、
北区二等辺三角地帯をハシゴすることになった。
メンバーはJ.C.を含めて4人。
もっとも遠方より駆けつけたのは宮城県S市のR子チャン。
あとは埼玉県K市のHしクンと多摩地域T市のA枝サン。

待合わせ場所は埼京線・十条駅ながら
J.C.はその前に単身で赤羽に出没。
立ち飲み酒場「いこい」に立ち寄ったのだった。
この典型的なせんべろ酒場では
ビールの大瓶1本にハイボール1杯、
つまみに煮込みとポテトサラダを取り、
お勘定はたったの790円と、実に驚きの店である。
安いからって長居をしてはみんなと落ち合う前に
べろべろになってしまうから、すみやかに退散する。

赤羽から隣り駅の十条に向かった。
4人が顔を揃え、さっそく駅前の「斎藤酒場」へ。
城北きっての名酒場はいつも盛況のわりに
満席で入店を制限されたことはない。
十条という町は適度な“飲酒人口密度”を保っているらしい。

ビールと一緒にやって来た3粒の殻付き落花生は
昔から変わらぬ定番のお通し。
ほかには独活(うど)の酢味噌や竹の子煮など、
素朴にして軽いものを数品お願いした。
夜の長さに上手く対応しているつもりだ。

2軒目の「天将」は大衆酒場というより大衆食堂。
町屋の「ときわ食堂」同様、
めしを食ってる客なんかほとんどいない。
みんながみんな飲んでいる。
それも朝っぱらからですヨ。
そしてみんなが歌っているのだ。
♪ ぼくらはみんな飲んでいる
   飲んでいるから歌うんだ
   手のひらに酎ハイを 乗っけてみれば ♪

まさか、こんなことがあるわけはないやネ。

その晩の接客係のオネエちゃん、
つっけんどんではあるけれど、なかなか会話のセンスあり。
やり取りしていて楽しいものがあった。
ここでは下町のシャンパーニュ、ホッピーをお願いする。
J.C.は赤羽で煮込みとポテサラをやっつけており、
一向に空腹感を覚えないが、ほかのお三方はハラペコの様子。
じっくりと注文品の吟味に入った。
おかしなことに「天将」では店先だけでなく、
店内にもサンプルを並べたショーウインドウが
鎮座ましましているのである。

             =つづく=

【本日の店舗紹介】
「斎藤酒場」
 東京都北区上十条2-30-13
 03-3906-6424

 
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2010年6月17日(木)

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