「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1036回
あの「神田鶴八」は今(その2)

女将さんとの二人三脚で
先代ゆずりの味を守る「神田鶴八」。
名物の塩蒸しあわびに舌鼓を打っている。
10席に満たないつけ台に客は5人。
いずれも穏やかな語り口で親方と言葉を交わす。

菊正の常温をお願いして次は大星(おおぼし)である。
大星は大粒の青柳(バカ貝)の貝柱。
北海道産のそれは単に大きいだけでなく、
江戸前の小柱にも負けず劣らずの風味があった。
おろしわさびをチョコンと乗せてつまむと
貝特有のコク味に生わさびの清涼感が新鮮だ。

酒をぬる燗に切替え、にぎりの前に何かもう1品。
先刻から気になっていた蝦蛄(しゃこ)にする。
小豆色の色つやよろしく、江戸前に相違ない。
J.C.的に今年、何よりもうれしいのが江戸前蝦蛄の復活。
神奈川県・小柴の港に水揚げされ、
専門業者の手でゆでられた蝦蛄は
誰が何と言おうと日本一。
他の追随を許すものではない。

さて、待ちかねたにぎり。
ここのはかなり大ぶりにつき、
鮨種の取捨選択には大いに気を使わねばならない。
欲張って全種制覇したら、それこそ腹がパンクする。
吟味を重ねて選りすぐった。

真子がれい昆布〆・あおりいか・小肌・縞あじ・
車海老w/おぼろ・煮はまぐり・穴子・
おぼろ巻き・鉄火巻き(赤身&中とろ)

赤字は特筆モノでどちらにもおぼろがからんでいる。
おぼろは当店の必食種目。
車海老用にしか仕込んでいない貴重な品を
客足がそろそろおさまったのを見極め、
無理を承知でお願いしたのだ。

昆布の旨みがほどよく移った真子がれい。
珍しく皮目を内側にしてにぎった縞あじ。
名物の鉄火中太巻きもそれなりのおいしさ。
デカすぎのはまぐりとヤワい酢めしが難と言えば難だ。

近所でもう1軒と、引き戸を引いて外へ出たとき、
玉子を忘れたことに気がついた。
お銚子3本が利いたものか、
久々の訪問なのに、まったくドジですねェ。

さてさて、明日はいよいよデンマーク戦。
天下分け目の関ケ原だ。
願わくば、守りを固めて引き分け狙いなんて
ケチなマネは絶対にしてほしくない。
これをやって破綻した日本の姿を
何度見せられたことか!

相手は勝つしかないからハナからガンガンくる。
こういうイノシシ軍団は思うツボで
日本にも多くのゴールチャンスが生まれるハズ。
猛牛をあしらうマタドールのようなサッカーを
ぜひご披露してもらいたいものだ。

航空機事故は離陸後3分と着陸前8分に集中するという。
これを“クリティカル11ミニッツ”と称する。
“恐怖の11分”とでも訳そうか。
これが日本チームの場合は
前半立ち上がり5分と後半終了前20分の、
計25分に渡って“恐怖の時間”が到来するのだ。
観ている方はたまったものではない。
毎度、毎度、「もう、気が狂いそう!」――ですモン。

【本日の店舗紹介】
「神田鶴八」
 東京都神田神保町2-4
 03-3262-0665

 
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2010年6月24日(木)

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