第1039回
ブラジルの清涼飲料水
麻布十番・新一の橋に近い「富麗華」は
気に入りの中国料理店である。
料理のポーションが適量ゆえ、
2人でも出かけられるのがよい。
食べるのが面倒くさくて敬遠しがちな上海蟹も
ここでは身を丁寧に外したうえで
甲羅に詰め直してくれるから
わずらわしさが一気に解消する。
読売ジャイアンツの終身名誉監督、
長嶋茂雄サンの御用達としても有名な店だ。
大通りを隔てて「富麗華」の向かいに
一風変わったスーパーマーケットがある。
通常、「日進(Nissin)」と呼ばれているが
「日進ワールドデリカテッセン」というのが正式名。
大正5年創業、日進畜産工業の直営店である。
輸入食品を中心に品揃えは
日本人よりもアメリカ人向けといった趣きがあり、
ワインや精肉には特に力を入れている。
牛肉は米国産や豪州産がドーンと塊りで売られていて
以前は日本では稀少な仔牛肉も扱っていたが
先日、立ち寄ったときには見当たらなかった。
その代わり飲料売り場で変わった飲みものを見つけた。
まずはご覧あられたし。
 |
ブラジル産の炭酸飲料
photo by J.C.Okazawa
|
ガラナ・アンタルチカという名の清涼飲料水は
ちょっと見、アメリカの7-upを思わせる。
こういうのを見掛けると、
試さずにはいられないタチだからさっそく購入。
350ml入り缶は126円であった。
その場で飲まずに家に持ち帰り、冷蔵庫でよく冷やす。
缶に記された原材料は
果糖ぶどう糖液糖、ガラナエキス、酸味料、
カラメル色素、保存料(安息香酸Na)、ビタミンC
である。
神奈川県・平塚市の荒井商事が輸入しており、
ブラジルの製造メーカーは
サッカーブラジル代表の公式スポンサーとあった。
さすれば、ロビーニョもカカーもマイコンも
これを日ごろから飲んでいるに相違ない。
そう思ってありがたくいただくと、
これがなかなかイケるのである。
泡立ちこまやかにして爽快感が突出(とっしゅつ)している。
清涼飲料水のシャンパーニュと言えないこともない。
味向きをあえて表現すれば、
コカコーラと三ツ矢サイダーの中間カンジだ。
初めてコーラという飲みものを口にした小学生時代。
けして小さくなかったあのときの驚きが
瞬時によみがえったような気さえした。
以来、東麻布方面に出向くたびに買い求めている。
この原稿を書いているのは月曜日の朝。
現時点ではブラジル―チリの結果が判らないが
ブラジルはきっと、
ガラナ・アンタルチカの如くに
スカッと爽やかな勝利を収めていることでしょう。
|