「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1048回
やっと眠れる夜が来る

4年に1度の一大イベントの幕が降りた。
ああ、今回もこれで終わりか、
そう思うと寂しさがこみ上げる。

W杯ファイナルを初めて観たのは
1966年のイングランド大会。
今回で12回目の決勝戦になる。
一番強かったチームは‘70年大会のブラジル。
王様・ペレはすでにピークを過ぎていたけれど、
とにかく逸材が揃っていた。

もっとも記憶に残るゲームとなると、
‘74年の西ドイツ―オランダ戦。
“空飛ぶオランダ人”こと、
J・クライフを擁しするオランダは
優勝候補の筆頭に上げられながら、
ホストの西ドイツに屈してしまう。

今大会のスペインは
初戦に破れて優勝した初めてのチームとなった。
そういえば‘74年の西ドイツも初戦ではないものの、
1次リーグ(当時は2次リーグまであった)で負けて優勝した。
何の因果か、そのとき西ドイツを撃破したのは
今は西ドイツと元の鞘に戻った東ドイツ。
終始、西ドイツが押していた試合なのに
東ドイツはたった一発の逆襲で勝利を手にしたのだった。

先刻、決着を見たスペイン―オランダ戦は
イエローカード乱れ飛ぶ乱暴なゲーム。
そこさえ目をつぶれば、観応えはじゅうぶんだ。
30分のエクストラタイムもうれしい限りで
大きく得をした気分になった。
この試合のMVPを選ぶとすれば、
得点したイニエスタではなく、
GKのカシージャスでキマリ。
ロッベンを2度止めたのは神がかり的だった。
そしてそのロッベンが優秀選手ということになろう。

それにしてもオランダは
‘74年、‘78年に続き、今回で3度目の準優勝。
‘78年は軍事政権下での開催だから
ホスト国・アルゼンチンに勝ったりしたら
選手の身に危険が及ばないとも限らない。
事実、危険を感じたクライフは参加を回避している。
しかるに‘74年と今回はあと一歩及ばず。
明日からまた、悲願の優勝に向けて
オランダの長い旅路が始まるのだろう。

大会が進むにつれて
話題をさらったのがドイツのタコである。
ドイツ戦7試合に決勝を合わせて計8試合、
すべて的中というのだから、にわかには信じがたい。
パウル君などと立派な名前のタコも立派だが
タコのご託宣を思いついた水族館もしてやったりだ。
何がキッカケでこんなアイデアが浮かんだのだろう。

昨夜から一睡もせず、この原稿を書いている。
これを編集部に送ったら即刻ベッドにもぐり込むつもり。
やっと今晩から夜に眠れる。
ホッとする反面、心のどこかに寂しさが積もっている。

 
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2010年7月12日(月)

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