「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1061回
ちらし鮨ではない、ちらし弁当

湯島の天神下交差点は“食的”に面白い場所である。
ニューヨーカーがよくやるように
十文字の交差点を時計回りにそれぞれ、
北西・北東・南東・南西と4区域に分けてみよう。

北西地域には2軒の有名店がある。
いつ訪れても行列必至のラーメン店「大喜」は
ラーメンの品揃え豊富で、みなおいしい。
1年ほど前に改装なった高額店「鳥栄」の鳥鍋は
評判ほどではなく、J.C.的に評価は高いものではない

北東は仲通りの風俗的歓楽街へと続くエリアながら
正統派の老舗バー「EST!」がある。
ただし、ここもサラリーマンが普段使いできる値段ではない。
あとは広小路方面に向かう途中の「デリー本店」だ。
ここのカシミールカレーは辛いが、突き抜けた風味がたまらん。

南東には人間国宝の五代目・柳家小さんが
マイどんぶりをキープしていたうなぎの「小福」、
サカナの産地にこだわる江戸前鮨の「喜八」、
昼も二交替予約制の「湯島一二一」がある。

南西は何と言っても東京屈指の居酒屋「シンスケ」だろう。
その裏手に回ると魚粕漬けの「よろずや」がひっそりと。
人形町の大量生産有名店よりこちらに軍配を上げたい。

さて、とあるカンカン照りの正午前。
上野広小路方面から天神下に向かい、
春日通りの1本南の道を
女性カメラマンを伴って歩くJ.C.の姿を見ることができた。
先週金曜日にNHK第一ラジオにおいて
「ヨーロッパ居酒屋紀行」と題し、
1時間ほどおしゃべりをしたのだが
そのHP用顔写真の撮影を終えたところなのだ。

暑い中、つき合ってくれたフォトグラファーには
何かおいしいものをご馳走しなければならない。
お昼の鯛茶漬けで名高い前述の「湯島一二一」に
飛び込んではみたものの、案の定、予約でいっぱい。
そりゃ、当たり前ですがな。

するとその先の天神下寄りに1軒の鮨店を発見。
「鮨いづ 天神下店」の店先に掲げられたランチメニュー、
ちらし弁当(1050円)に目がとまった。
ちらし鮨ではなく、ちらし弁当と宣言しているのは
生モノよりも煮もの・焼きものに重点を置いているからだろう。
ツレもにっこり微笑んだので迷わず入店した。

炎天下の撮影のあとのこと、ビールのうまさは格別だ。
ほどなく二段の重箱が目の前に置かれた。

一の重には料理の数々
photo by J.C.Okazawa


二の重は鉄火重の装い
photo by J.C.Okazawa

予想通りに生モノはまぐろ赤身の薄切りが5枚のみ。
生々しいちらしをそれほど好まぬ身にはこれでも満足度が高い。

いただいてみて瞠目した。
すべてが丁寧に作られており、殊に煮ものは秀逸。
なんでんかんでん、刺身が一番と思い込んでいる向きには
不向きなれど、舌の肥えた和食好きは納得するのではないか。
味噌椀と水菓子が付き、
ビールにはわさび漬けまで添えてくれた。
築地市場の内外で、のさばっている海鮮丼なんかより
ずっと、ずっと、すばらしい食事がここにある。

余談ながら昨日発売の「週刊 ザテレビジョン」誌上で
テレビ局の社内食堂訪問記をしたためてあります。
 ♪ おヒマなら見てよネ、ワタシ書いたのヨォ〜 ♪


【本日の店舗紹介】
「鮨いづ 天神下店」
 東京都文京区湯島3-36-8
 03-3834-4028

 
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2010年7月29日(木)

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