「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1084回
インドネシア?の砂

夏はもっとも好きな季節。
でも、盛夏に熱いラーメンや日本そばはあまり食べない。
そこへトンデモないミッションが舞い込んできた。
週刊現代のコラム「うまいもの番付」で
天ぷらそば編を請け負ってしまい、
再検証のため、熱いさなかに連日連夜、天ぷらそば三昧である。

困ったことに以前はよかった老舗でも
最近、あまり芳しくないところが少なくない。
今日はその典型例を紹介しよう。
明治座近くの「浜町藪そば」がそれだ。

とある猛暑日の午後1時。
注文を取ってくれたオバちゃんに念を押された。
「温かい天ぷらそばでよろしいんですね?」――
その気持ち、よお〜く判ります。
冷え性のご婦人ならいざしらず、
大のオトコがクソ暑い日に熱いそばですもの。

藪系では上野と池の端の天ぷらそばが好みだが
1500円のキャップがあるために
予算をオーバーしてしまうのだ。
それゆえの浜町である。

1470円で予算ぎりぎりの天ぷらそば
photo by J.C.Okazawa

2尾ともドップリとつゆに浸かっている。
揚げ油の劣化からか尻っぽが黒いずんでいる。
結局は尻っぽも食べたけれど、釈然としない。
そばの量から海老は1尾でじゅうぶんではないか。
とにかくそばがノビ切らないうちにと
猫舌にムチ打ち、ひたすらたぐる。

海老1尾でそばを八割方食べ終え、
どんぶりが天ぬき状態になったとき、
こらえ切れずにビールをお願い。
中瓶はキリンのみ、小瓶はキリンとアサヒとの仰せである。
小瓶じゃもの足りないが仕方なくアサヒの小瓶を注文。
すると運ばれたのがドライではなく熟撰だった。
「マンマ・ミーア!」――何だか最近、嘆きが多い。
キリンは一番搾りだというし、
「キリン・アサヒではなく、一番搾り・熟撰と
明言してあげたほうがお客には親切ですよ」――
われながら的確なアドバイスである。
「言葉が足りなくてすみません」――
人柄よろしく素直なオバちゃんなので許す、許す、J.C.は許す。

と、ここまで来て賢明な読者は
サブタイトルの「インドネシア?の砂」とは
いったい何のこっちゃ? といぶかしんでおられよう。
まあ、先をお読みくだされ。

アサヒ熟撰の合いの手となった2匹目の海老天。
そいつを一咬みしたらジャリッときた。
背ワタが砂をかんでいたのだ。
察するにこれは冷凍の輸入海老であろう。
であれば、インドネシア産の確立が非常に高い。
すると、咬んだ砂はインドネシアの海岸の砂だ。
そんなことはどうでもいいことのようだが
砂を咬む思いとはまさにこれを言うんだな。
おっと、忘れるところだった。
「浜町藪そば」の天ぷらそばは
「うまいもの番付」から惜しくももれました。


【本日の店舗紹介】
「浜町藪そば」
 東京都中央区日本橋浜町2-5-3
 03-3666-6522

 
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2010年8月31日(火)

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