「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1091回
青物横丁の焼き鳥屋

小学校の頃、大田区・平和島に棲んでいた。
競艇で有名な人工島・平和島はすでにあったが
京急の駅名は平和島ではなく学校裏といった。
そんな名前だから何かしら学校があったのだろう。
あったのだろうが、記憶にはない。

都心に出掛ける際の交通手段は京急のみ。
さすがに京浜急行を名乗るだけあって
電車の走行速度は当時からとてつもなく速かった。
途中、通過する立会川や鮫洲の駅には
大人になるまで降りたことがなかった。
とりわけ青物横丁にはトンと縁がなく、
今回が初めての下車である。
角打ちを続ける古い酒屋があるとの情報を得たのだ。

訪れたのは「田中屋酒店」。
ところがシャッターが降りている。
本日休業ではなく、すでに閉業している景色だ。
コンビニが酒販を始めてからというもの、
町の酒店は雪崩を打って廃業している。

代替店を探さねば。
角打ちなんてそんじょそこらにあるワケもなく、
こうなった以上、もう何でも構いやしないのである。
大事なのは青物横丁という町で初めて酒を飲むことだ。
およそ30分間、駅周辺を徘徊した。

こうして選んだのが「大空」なる焼き鳥屋。
空を飛べないニワトリの肉を商っていながら
「大空」もないもんだが
店主、あるいはオーナーの苗字ということも考えられる。
大空真弓なんて女優さんもいることだしね。
しかしよくよく考えてみれば
あれは芸名で友人・知人に大空なんていた試しがないぞ。

焼き鳥は塩で砂肝・ハツ・せせり・ひざナンコツ・ぼんぢり。

右から砂肝とハツ
photo by J.C.Okazawa

タレでレバーちょい焼き・ねぎま・月見つくねと食べ継いだ。

レア仕上げのレバー
photo by J.C.Okazawa


月見の意味は卵黄にあり
photo by J.C.Okazawa

よかったのは砂肝・ハツ・せせりの3本で
甲乙丙つけがたく、いずれがアヤメかカキツバタ。
そして興味深いのは平らげた8部位の食感が
ことごとく異なることだった。
焼き鳥の妙味はここにあったのだ。
これが焼きとんだと、とてもこうはいかない。
タンとハツはよく似ているし、
ガツ・シロ・テッポウも似たり寄ったり。
どちらかといえば、焼きとんのほうを好むJ.C.ながら
大いに焼き鳥を見直した。

値段は月見だけが220円であとはオール130円。
下町で食べる焼きとんよりは多少高いけれど
8本で1130円というのはお値打ちだろう。
角打ちも安いが、串打ちも安かった。

このあと品川を経由して浜松町に流れ、
「玉川屋酒店」で角打ちを楽しむつもり。
ビールをたっぷり飲んだことだし、
たまにはハイボールでもいっておくか。


【本日の店舗紹介】
「大空」
 東京都品川区南品川2-5-9
 03-3471-7742

 
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2010年9月9日(木)

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