「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1102回
この夏、ただ1度のビヤガーデン

酒の味をすっかり覚え、外で飲み歩き始めた学生時代に
仲間とよく行ったのが現在も池袋東口にある「銀座ライオン」。
当時はいかにもドイツのビヤホールという感じで
生のボーカルや演奏を楽しめたが
今はありふれたスポットに成り下がってしまった。
銀座本店の5階、「音楽ビヤプラザ」をときどき訪れるのは
往時の池袋東口店の面影を偲ぶためだ。

好んで訪れるビヤホールは「銀座ライオン本店」の1階、
浅草「神谷バー」、有楽町「レバンテ」の3軒。
これぞわが愛しの“東京ビヤホール御三家”である。
浅草「正直ビヤホール」も好きだが
これはビヤホールではなくビヤバー。
吾妻橋にあるアサヒビールの直営店、
「23 BANCHI CAFÉ」もしかりで
ここは店名通り、ビヤカフェと呼ぶにふさわしい。

日本の夏の風物詩、ビヤガーデンはどうであろうか。
ビヤホールに負けず劣らず大好きである。
今をさかのぼること三十有余年、白雲なびく駿河台に
「コペンハーゲン」なるビヤガーデンがあった。
西洋館の庭を上手に使って浮世離れした名店だった。
ビヤガーデンにもかかわらず、喧騒とは無縁、
時が静かに流れていたものである。

その頃、芝公園は「東京プリンスホテル」のビヤガーデンに
忙しく立ち働く若きJ.C.の姿を見ることができた。
大学の校舎が過激派学生に占拠されて
授業がないのをこれ幸いにアルバイトにいそしんでいたのだ。

当時の「東プリ・ビヤガーデン」は
都内屈指の、いや、都内随一のビヤガーデンだった。
BBQや鉄板焼きのコーナーが両サイドに設けられ、
中央の芝生にはアラカルト用の丸テーブル。
芝生の上が特等席でここから夜空を見上げると
ホテル本館の背後に東京タワーが浮かび上がっていた。

もう十数年も前に芝生席はとっぱらわれて
屋根付きガラス張りのビヤレストランが建てられ、
情緒もへったくれもなくなった。
ドーム球場のように屋根があれば、
全天候型となり、ホテル側の収益に寄与するわけだ。
味も素っ気もないと知りながら
かつて自分が働いた場所に飲み仲間を誘って繰り出した。

最近はビル屋上のビヤガーデンもやれ飲み放題だ、
ほれ食べ放題だと、文字通りやりたい放題。
このシステムが店側にもたらすメリットは時間制限の設定。
ところが客の使い勝手は悪化の一途で
のんびり生の中ジョッキを2杯だけなんて芸当は
もはや夢のまた夢、嫌がられること請け合いとなった。
よって今夏、訪れたビヤガーデンはこの1度きりという有様だ。

たまたま東プリのビヤガーデン、
その名も「ガーデン・アイランド」はアラカルト健在にして
ホテルのわりにバカ高いわけでもない。
総勢9人がじゅうぶんに飲み食いして会計は34100円。
1人アタマ3800円弱にすぎない。
キリンの生ビールに、つまみはシーザーサラダ、
ヴァイスヴルスト(白ソーセージ)、焼き餃子、鶏の唐揚げ、
小海老のチリ炒め、仔羊のジンギスカンなどなどだ。

重ねて言うが、以前の情緒あふれる雰囲気は完全に失せている。
ちょうどシーズンも終わったことだし、
それを承知で1度は試してみようと思われる方は
来夏にでも出掛けてみてください。
トータルでなかなかのビヤガーデンではないでしょうか。


【本日の店舗紹介】
「ガーデン・アイランド」
 東京都港区芝公園3-3-1東京プリンスホテル内
 03-3432-1147(直)
 03-3432-1111(代)

 
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2010年9月24日(金)

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