「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1105回
日本で唯一のクロアチア料理店

旧ユーゴスラビアを初めて訪れたのは1986年夏。
当時、赴任していたシンガポールから
イタリア・ギリシャを周遊したあと、
現セルビアのベオグラードに入り、
現クロアチアのドブロブニクに回った。

ベオグラードで印象に残ったのは
赤ワインでやった羊料理の美味しさ。
そしてベオグラード市民の背の高さ。
平均身長ではセルビアが世界一だと確信している。
アメリカ人もデカいがイタリア系やアジア系、
それにヒスパニックが小柄だからね。

ドブロブニクで印象に残ったのは
白ワインでやった魚料理の不味さ。
鮮度落ちのシーフードに手を焼いてしまった。
しかし、さすがにアドリア海の真珠と謳われる城砦都市、
風向明媚このうえなく料理のペケを補って余りあった。

目の前の海上には“ひょっこりひょうたん島”に瓜二つの
ロックルーム島がべろ〜んと横たわっており、
フェリーに乗って行ってみると、
そこには世界初といわれるヌーディストビーチがあった。
砂浜はなく、波打ち寄せる岩肌に豊満な裸体を
惜しげもなくさらす美女(そうでない人も散見された)が
鈴なりになって今にも海にこぼれ落ちそう。
こちらはべつに脱がずとも入れるおおらかなヌード村だった。

ところ変わって東京は銀座と日本橋の間の京橋。
この街に日本初のクロアチア料理店、
「Dobro」が生まれたのはいつだったろうか?
確か2002年頃と記憶している。
初訪問は2003年12月。
2日後には「紅白歌合戦」という暮れも押し詰まった夜のこと。

クロアチアの赤ワイン、イヴァン・ドウチ‘99年は
6千円もしたが、独特の香気漂う銘酒であった。
ドブロブニクが属するダルマチア地方の前菜盛合わせ、
トマトソースで仕上げたまぐろのペンネ、
りんご&じゃが芋のガレットを添えた鹿肉のソテーなどを
次々と平らげて気分のよい一夜を過ごした。

久々の再訪はお天道さまが頭の真上にあった土曜日。

雰囲気たっぷりの店内
photo by J.C.Okazawa

以前は宝石店だったので洗練された造作が目を惹く。
エントランスとダイニングの段差がよいアクセントだ。
コクありすぎで好みではないプレミアムモルツの生を
小さなグラスにそれでも立て続けに2杯。
好みでなくとも暑い日のビールはやはり旨い。

あんずやかぼちゃの種の散る自家製パテがなかなか。
きのこ香るクリームソースたっぷりのシャトゥルクリは
チーズを包んだ大柄なラヴィオリだ。

滋味あふれるシャトゥルクリ
photo by J.C.Okazawa

パスティツァーダは牛ほほ肉の赤ワイン煮。
ほほ肉そのものもさることながら
添え物のクリームペンネとガーリックライスが
あまり酒を飲まない昼どきにはうれしい。
バルカン半島の定番、サルマは酸っぱく、しょっぱかった。

挽き肉とライスをキャベツで包んだサルマ
photo by J.C.Okazawa

バルカン地方のみならず、
ロシア・東欧でもロールキャベツはよく食べられている。

煮込みモノの多いクロアチア料理には
どこかほのぼのとした味わいがあり、
日本人の舌に抵抗なくなじむ。
まずは週末のランチをおすすめしたい。
食後はすぐ隣りの銀座に赴いて
映画でも買い物でもお気の召すままにお過ごしあれ。


【本日の店舗紹介】
「Dobro」
 東京都中央区京橋26-14
 03-5250-2055

 
←前回記事へ

2010年9月29日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ