「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1111回
ありそでなかった珍メニュー(その1)

旧東海道・品川宿の面影を残す京急・北品川駅界隈。
大好きな「北一食堂」が駅のそばにある。
街道筋には今も商店街が軒を連ねているが
ほかに目ぼしい飲食店は見つからない。
それでも旧道をちょっと外れると、
それなりの歴史を刻む天ぷら屋が2軒ある。
ともに庶民的なことこのうえなく、
ヨソ者に対しても敷居はきわめて低い。

うち1軒の「三浦屋」を訪れたのは9年前。
フード・ダイアリーをチェックして
もうそんなに時が経ったのかと愕然とした。
浅草をこよなく愛するわが心、
下町風に下世話な天ぷら・天丼はけして嫌いでない。
「三浦屋」の天ぷらもそんな風だったのに
その夜は気に染まなかった。
揚げ油の重たさが胸につかえたのである。

以来、ずっとご無沙汰してしまい、
その影響からもう1軒の「うえじま」は未踏のままだ。
長い月日が流れた末にたまたまふと思い出し、
未開地を探索してみる気になった。
正直に白状すれば、北品川近辺を歩きたくなったのだ。

なんだかとりとめもなく雑然とした店内には
数組の先客がそれぞれに酒を酌み交わしたり、
食事を取ったりしている。
品川駅東口のはずれの角打ち「太平屋酒店」で
すでにビールを飲んできたから
ハナから八海山のヒヤをお願いした。

ほぼ天ぷらモノ一辺倒の前記「三浦屋」とは対照的に
「うえじま」のメニューの幅はかなり広い。
ダイジェストで紹介してみる。

=Cold=
 オニオンスライス(黄身入り)・・400円
 おろし(シラス・明太)・・500円
 玉子のふわふわサラダ・・500円

=Hot=
 ハムエッグ・・500円  茄子ピーマン・・500円
 焼き魚(赤魚・鯖・鯵・秋刀魚)・・500円
 はんぺんチーズ・・600円
 トマチ(ピザの具の部分)・・600円
 にが瓜(肉入り)・・600円

ざっとこんな調子で、この中に興味を惹かれる料理が1品。
そう、もうお判りですね、トマチですよ、トマチ。
これこそありそうでなかったメニューではなかろうか。
具よりも生地を楽しむイタリア人には思いもつかないだろうが
その昔、ピザ黎明期における日本のピザは
ベーコンだの、玉ねぎだの、ピーマンだの、
やたらめったら具が多かったものだ。
したがって具だけでもじゅうぶんに酒の肴に成り得るのだ。

思い起こせば、初めてピザの存在を知ったのは
東京五輪の翌年、昭和40年のことだった。
TBSテレビのとある人気ドラマを通して
ピザという食べものにお初にお目に掛かった。
そのドラマのタイトルは・・・
それはまた、明日のコラムで(ちょっとイヤらしいネ)。

           =つづく=

 
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2010年10月7日(木)

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