第1112回
ありそでなかった珍メニュー(その2)
昨日のコラムの幕切れは
テレビドラマの話題だけに“以下次号”みたいな、
あざといマネをしてしまった。
南州太郎じゃないけれど、反省しまッス!
誰だソイツは? ってか?
判らない人はググッて、ググッて――。
さてその昔、J.C.にピザの何たるかを知らしめた、
TVドラマは「ただいま11人」。
山村聡と荒木道子の夫婦、娘7人、
息子2人の11人家族を中心に展開するホームドラマだ。
長女役が先ごろ亡くなった池内淳子で
渡辺美佐子・中原ひとみ・丘さとみ・松尾嘉代・
沢田雅美たちが娘役、山本圭が長男だった。
劇中、父親が面倒をかけた長女に
「お礼に何かごちそうしようじゃないか」と水を向けると
「ピザが食べてみたいわ」と池内淳子がつぶやいた。
よく覚えていないのだが、どうも円形ではなく、
ピザトーストみたいな形だったような・・・。
北品川の「うえじま」に戻る。
日本酒にピザの具というのも「何だかなァ」である。
衝動的に注文してしまったものは致し方ない。
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これがトマチです
photo by J.C.Okazawa
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イタリアンでも洋食屋でもない天ぷら屋が
発案したことは賞賛に値しよう。
よほどの策士が厨房を差配しているものと
奥をのぞいてみたが、初老の女性2人での切盛り。
接客係もオバちゃんだし、実に意外な顔ぶれである。
天ぷら屋に来てピザだけでは済まされない。
本日のオススメに小鮎の天ぷらを見つけて即追加する。
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大小取り混ぜて10尾ほど
photo by J.C.Okazawa
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てっきり稚鮎クラスかと思いきや、
そこそこ立派なサイズが揃っており、
ここは相方に一踏ん張りお願いした。
このあと京急・鮫洲の角打ち「飯田屋酒店」に回る手はず。
八海山も空いたことだし、そろそろお勘定でもよかったが
天ぷら屋に来てピザと小鮎だけでは済まされない。
思案の挙句、品川らしい江戸前の天丼を1つ誂えてもらう。
いわゆるオーダーメードだ。
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はみ出た穴子のほかに海老・きす・めごちが潜む
photo by J.C.Okazawa
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天丼は瀬戸物のフタ付きどんぶりに限る。
それにごはんと一緒なら天ぷらより天丼であろう。
1973年の10月、今から丸37年前。
ケニアの首都・ナイロビに居た。
タンザニアのアリューシャ・ンゴロンゴロ・
ダルエスサラームを経て
ケニアの海岸沿いにモンバサ・ラムーと周遊したあとで
おいしいモノに飢えながら再度、
ベース地のナイロビに舞い戻ったときのこと。
一晩だけは贅沢しようと、日本料理店「侍」に出向いた。
注文品は天ぷら定食ながら、天つゆの代わりに丼つゆを所望。
食べたい天丼だとごはんのお替わりが不自由だからだ。
1皿の天ぷら・白菜漬・豆腐味噌汁だけで
何と、何と、どんぶりめしを3杯平らげた。
ケニアに水田なんかあるわけないからもちろん陸稲である。
日本に居たらそれこそ不味くて食えない米なのに
日本人の板さんに「牛みたいに食うね」と言われたほどだ。
いくら丼つゆの濃い甘辛味に食がすすんだといっても
やはり若かったんですねェ。
橘家圓蔵が月の家円鏡時代にラジオで言い放っていた。
「オレ、天ぷら大嫌いだけど、天丼は大好物だぜ」――
この言葉を今懐かしく思い出す。
1960年代、円鏡は談志・圓楽・志ん朝とともに
落語四天王と称されたほどの噺家であった。
【本日の店舗紹介】
「うえじま」
東京都品川区北品川1-22-7
03-3471-3860
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