「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1114回
ある晴れた土曜日に(その1)

昨日のコラムではつけ麺愛好者にとって
余計なお節介を長々と綴った。
「ほっといてくれ!」と思われた読者も少なくあるまい。

10月もそろそろ半ば、
今年のフード・ダイアリーをめくったところ、
7月に1度だけつけ麺を食べていた。
それも半分だけ分けてもらって――。
場所は駿河台下の「つけ麺 さとう」。
極太麺はともかくも、つけダレの甘さが気になり、
半分の半分を相方に返品させてもらった。

9月後半のとある秋晴れの土曜日。
一念発起してつけ麺を食べに家を出る。
目指すは駒込・霜降橋の「西尾中華そば」である。
先ごろ浜松町で閉幕した「大つけ麺博」にも出店した人気店だ。
11時45に到着するとすでに15人ほどの行列。
店内は10席あるやなしやで、こりゃずいぶん待たされそうだ。
品書きにはなぜかつけ麺が見当たらない。
「大つけ麺博」に参加したくらいだから
あるにはあるのだろうが、隠れメニューなのかな?

それにつけても行列に並ぶのはイヤ。
方針変更して商店街をそのまま北西に進んだ。
なぜか心は安らぎ、さあ何を食べようかと胸が弾む。
(よっぽどつけ麺が嫌いなんだネ)
ところがこの霜降橋商店街、
行けども行けども、これぞといった店が見つからない。
とうとう都電・滝野川一丁目の駅まで来てしまった。
当夜は早い時間から浅草の「すし468」で夕食の予定。
こんな時間に昼食をとったら、晩メシが不味くなる。
よってランチは忘れることにした。

何年ぶりかで桜の名所・飛鳥山公園に分け入る。
びっくりしたのは山頂の見晴台と
公園入口とを結ぶ小さなモノレールが設置されていたこと。
モノレールのアスカルゴという愛称は
エスカルゴに似た形状と飛鳥山とをかけた造語。
パリの街でエスカルゴといえば男性用の公衆トイレだがね。
ほんの短い距離ながら乗車無料に背中を押されて乗ってみた。

5〜6人乗りのアスカルゴ
photo by J.C.Okazawa

北区の行政もなかなか洒落たマネをするじゃないですか。

飛鳥山公園下にはさくら新道がある。
懐旧の心揺さぶる飲食街が一列縦隊だ。

昼下がりのさくら新道飲食街
photo by J.C.Okazawa

明るい時間の飲み屋街はけだるさに満ちている。
ここは生ゴミが出ていたり、ヘンな臭いがしないのがよい。
通りのはずれで、なぜか裸電球が一球ともっていた。

電気代は誰が払うんだい?
photo by J.C.Okazawa

今宵は浅草だが近いうちに飲みに来よう。

王子駅前のロータリーを渡り、
大衆酒場「山田屋」まで行ってみたものの、
こんな時間に開いているわけもなし。
駅に戻って何気なしに乗る都電荒川線であった。
車内は混んでいて立錐の余地もない。
ワンマンカーの運転手が
「次に続く町屋行きは空いております」を
重ねてアナウンス。
一電車待つのはよくとも、町屋で下車してもなァ。

           =つづく=

 
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2010年10月12日(火)

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