第1119回
食べ放題のグルジア料理
現在、大相撲にはグルジア出身の関取が3人いる。
先輩格の黒海に、地力を発揮し始めた栃ノ心、
そして幕内最重量を誇る(?)臥牙丸である。
前者2人の四股名はそれぞれにまともながら
臥牙丸には首を捻ってしまう。
“ががまる”というサウンドは勇ましくてよろしい。
だが“臥”の字は本来、病の床に臥せるの意味で
3つの漢字を合わせると
“牙を病んでる丸太り”てなことになり、
強そうな響きとは裏腹に全然勝てそうもない四股名なのだ。
名付け親にはそれなりの理由や動機があるのだろうが・・・。
残念ながらグルジアには行ったことがない。
グルジア産ワインは銀座にあったロシア料理店でよく飲んだ。
赤のサペラヴィとムクザニの味わいはいまだに記憶している。
何でもグルジアワインは
世界最古のワイン(ぶどうを原料とする)なのだそうだ。
古くからキリスト教を深く信仰する国なので
キリスト教と固い絆で結ばれているワインが根付いている。
そういえば、この国の国旗はダイレクトに十字軍を
連想させるほど、派手で奇抜な図柄である。
東京にグルジア料理店ができたというニュースを耳にはさみ、
東五反田を目指したのは2ヶ月ほど前。
「ガンバルジョ!」なる奇妙な店名は冗談かと思われた。
夜に訪れてワインを満喫する手もあったが
ランチタイムに品数が少ないものの、
ビュッフェを提供していると聞き、
お手並み拝見を決め込んだのだ。
しかも千円札1枚で楽しめるとあっては看過できない。
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お米のサラダ&キドニービーンズのサラダ
photo by J.C.Okazawa
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他愛のない冷菜かと思いきや、
これがどうしてどうして、素朴なおいしさに満ちている。
日本のコンビニやスーパーのサラダみたいに
余計なものが一切、投入されていないのが勝因。
まったくもって今の日本人はロクなものを食っちゃいない。
1億総グルメなんて言われた時代もあったが
あんなものは夢のまた夢、
今となっては旧共産圏の国々のほうが
よっぽどマシなものを食べている。
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マッツォーニはカスピ海ヨーグルトのスープ
photo by J.C.Okazawa
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ヨーグルトを感じさせないアッサリ仕上げは
グルジア人にとって日本の味噌汁のような存在か。
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ハチャブリはチーズを挟み込んで焼いたパン
photo by J.C.Okazawa
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グルジア人らしく(よく知らないけど)寡黙な店主の
説明によれば、グルジア風ピッツァとのこと。
実際に食べてみると、その美味もさることながら
イタリアのピッツァより、インドのクルチャに近い。
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メインのチャホフビリはチキンのトマトシチュー
photo by J.C.Okazawa
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トマトスープにチキンの肉塊がプカリ浮いている景色。
グルジア名物のシャシーリク(肉の串焼き)などを期待すると、
肩透かしを食うがこれもまた素直においしい。
パサつきやすい胸肉をしっとりと煮込んである。
何かあと1品ほしいところなれど、十二分に満足がいった。
先日紹介したクロアチア料理店(第1105参照)ともども
日本で唯一のグルジア料理店には
上記3人の関取はもちろん、駐日大使も顔を見せる。
ヒットラー、トルーマンと並んで20世紀の3大虐殺者、
スターリンの故郷ということには目をつぶり、
行ってみましょう「ガンバルジョ!」。
【本日の店舗紹介】
「ガンバルジョ!」
東京都品川区東五反田1-25-17
03-3442-5666
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