「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1129回
煙りにけむる武蔵小山

 ♪ 伊豆の山々 月淡く
    灯りにむせぶ 湯の煙 ♪
      (作詞:野村俊夫)

ご存知(でない方もおられようが)、
昭和23年に近江俊郎が唄ったヒット曲、
「湯の町エレジー」の出だしである。
いや、いきなりの懐メロで失礼しました。

実はこのところ女難ならぬ、水難ならぬ、
煙難に見舞われておりやす。
えっ?
煙草値上げのせいで可処分所得が減り、
小遣いに困ってんのか? ってか?
トンデモない、こう見えてもJ.C.、
ずっと以前に煙草も葉巻もをやめました。

煙難については昨日のコラムでもふれたように
つい先日、信州は小諸駅構内において
大漁の、もとい、大量の秋刀魚の湯煙り、
もとい、油煙りに文字通り、ケムに巻かれてきたばかり。
だのに、今度は東急目黒線・武蔵小山駅前でヤラれた。
"しょせん目黒のサンマ"の駄ジャレだろ! ってか?
ちゃう、ちゃう、まあ、先をお読みくだされ。

その日はお日柄に恵まれていたのかどうかは知らぬが
とにかく好天には恵まれていた。
今月15日発売の「めしとも」12月号のミッションで
「ミシュラン東京」の星付き日本そば屋を巡っていたのである。
当日は白金の「三合菴」で昼食。
夜は「白トリュフとポルチーニを味わう会」があり、
かなり重たいフルコース。
よって胃に負担のかからない日本そばはありがたい。

昼食後は絶好の散歩日和につき、
何処を訪ねたものか、しばしの思案投げ首。
そして浮かんだ道筋は以下の3通り。

A 広尾 → 麻布十番 → 芝公園 → 日比谷公園
B 泉岳寺 → 品川 → 大井町 → 平和島
C 恵比寿 → 目黒 → 武蔵小山 → 中延

はて、どれにしようかな?
結局、選択したのは最短のCコースだった。
そば屋からほどない恵比寿ガーデンプレースを一巡りして
目黒権之助坂下に抜け、
お不動様の先のかむろ坂を上って武蔵小山駅前に出た。
このときなのだ、またもや煙の洗礼を受けたのは!

同じ煙りでも里山の民家から一すじ上る夕餉の煙りなどは
日本人の原点に直結する温もりがあって心が和む。
冒頭に紹介した、いで湯に煙る湯の町は情緒に満ちているし、
小雨に煙る港町では大人同士の恋が生まれそう。
ところが、ところがですよ、なぜか武蔵小山の駅前は
ヤケに煙りでケムッたいのだ。
しばらく来ない間に変身して小ギレイになった駅周りだが
近所の空き地で花火大会ならぬ、
焚き火大会でもやってるのだろうか?

見回せば、煙りの源はすぐ突き止められた。
さして大きくもないトタン張りの煙突である。
近づくと煙りの主は
「鳥勇」なる立ち食い・持ち帰り専用の焼き鳥屋。
おい、おい、たった1軒の焼き鳥屋の商売のせいで
町の顔とも言える駅前がこんなにケムくてよいものか?
店頭にはあふれんばかりの串、串、串である。
それも一律1本150円と、下町ではあり得ない価格設定だ。
煙りだけでイチャモンつけるのも何だから
食べてみようと思ったものの、前述の理由でこの日はムリ。
こうなったら近々、実食して判断を下さねばならぬ。
そして心に決めました。
明日、文化の日に殴りこんで、もとい、乗り込んでみようと。
おそらく数日後には結果を発表できましょう。
お楽しみに!


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2010年11月2日(火)

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