「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1130回
ザ・ウーマン・フロム・ニューヨーク(その1)

今日は文化の日。
子どもの頃は単に学校が休みになるのでうれしかったが
何のための祝日かは、まったくの無頓着。
さすがに文化放送の創立記念日とは思わなかったけれど、
子どもの日に対する、大人の日くらいの感覚でいた。

その後、宮中において
文化勲章の授与式が行われる日だと知った。
ところが、もう少し調べてみると、
この日は日本の近代史に大きく関わる日なのでした。
もともとは天長節と呼ばれた明治天皇の誕生日。
それが敗戦後まもなく、日本国憲法が制定される段のこと。
1946年11月3日に憲法が公布されて文化の日となった。
明治天皇誕生日はすでに祝日だったので
ほかの日を選べばよさそうなものを
平和憲法の影に軍国主義の権化を隠したのは
進駐軍のご機嫌伺いの意味合いが強い。

その半年後の翌‘47年5月3日には
日本国憲法が施行され、その日が憲法記念日となった。
いわば、文化の日は“憲法公布記念日”で
憲法記念日は“憲法施行記念日”なのである。
たかが日本国憲法と言ったら叱られちゃうが
ずいぶんと手の込んだマネをしたものだ。
まっ、とにかく今日はそういう日、
明るく文化的に過ごしましょう。

ニューヨークに長く棲みっ放しのK美子が一時帰国してきた。
ここ数年、生活が安定したためか
2年に1度くらいのペースで里帰りしてくる。
実家は名古屋の呉服屋さんだ。
一時期は某邦銀の資金ディーラーを務めたこともあったが
現在は一流レストランの女料理人になっている。
料理を作ることが何より好きで
プロになる前から腕前はしっかりしていた。
晴れて長年の夢がかなったわけだ。
早いもので丸20年の交遊になる彼女、
名古屋に帰る途中に必ず東京に立ち寄るので
その都度旧交を温めつつ、思い出話に花を咲かせている。
屹立するツインタワーを夕陽が染めていた平和な時代・・・。
お互いユーミンみたいに
“あの日に帰りたい”と思うことはままあるね。

今回も成田から八丁堀のホテルに直行する彼女を
ホテルの近くのバーで待つことに。
八丁堀交差点にある「Stand bar maru」に独り赴くと
バーテンドレスがはべるバーカウンターは立錐の余地もない。
酒屋の角打ちはともかく、バーで押しくら饅頭はご免だ。
オーナーの趣味か、可愛めの女性が揃っていることもあり、
彼女たち目当てのシタゴコロ・ブラザーズがウヨウヨ。
エッヘン、落ちぶれ果ててもJ.C.は武士じゃ、
連中と兄弟なんぞになりたくない。

武士は食わねど高楊枝、
辺りを物色して飛び込んだのが町の中華屋「十八番」。
スーパードライの中ジョッキを一気に半分ほどグイーッとやり、
軽いつまみの吟味に入る。
この際、つまみの要らないタイプながらあちらも商売、
何も注文しないのは無作法にしてルール違反。
豚肉薄切り特製ソース掛け(600円)に白羽の矢。
中華前菜の雲白肉のようなものだろうと想像した。
値段からして量も少なそうだ。

にんにく&八角の効いた一皿はあにはからんや、
けっこうなボリュームであった。
ドライの中瓶を追加したものの、とても食べきれない。
これからK美子とハシゴをするのに完食したらあとが大変だ。
折りよく彼女から準備OKの電話が入り、
店のお兄さんに言い訳しながらお勘定。
ホテルに迎えに行きましたとサ。
お〜、やれやれ。

             =つづく=


【本日の店舗紹介】
「十八番」
 東京都中央区八丁堀2-28-7
 03-3551-8150


←前回記事へ

2010年11月3日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ