「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1133回
その夜はつづきがありました

三ノ輪の大衆酒場「弁慶」でハイボールを飲んでいる。
三ノ輪―早稲田間を結ぶチンチン電車の始発駅、
三ノ輪橋は目の前だ。
電車に揺られたくなり、思いつきをツレに振ると
「ぜひ乗ってみたい!」と言うではないか。
それじゃあ、参りましょう。

早稲田はおろか池袋まで遠征するつもりは毛頭ない。
大塚・巣鴨・王子だってまだ遠い。
さすれば、沿線で比較的近い飲み屋タウンは町屋しかない。
「弁慶」をサッと切り上げ、
15分後にはこれまた串煮込みが名物の「小林」にいた。
食の太い相方がいればこその離れ業である。
独りでのハシゴ酒は問題ないがハシゴ食いはあきまへん。

「小林」ではもつ煮込みだけにとどまらず、
もつ焼きにまで手を染めた。
初めに名代の串煮込みは、シロ・フワ・ナンコツ・玉子。
「弁慶」よりもこちらが上だ。
町屋には煮込みの両雄が並び立っており、
この店はコクのある牛もつ煮込みで
近所の「亀田」はアッサリ仕上げの豚もつ煮込み。
どちらを訪ねるか、いつもは迷うことがない。
両方とも行っちゃうからだ。
ところが当夜はすでに煮込みを重ねている。
あとは「小林」名物のラーメンで締める手が残されていた。
まだケロッとしてイケそうな相方の存在が実に心強い。

結局、町屋でもう1軒と相成った。
さすがに煮込みの三連荘はする気になれず、「亀田」はパス。
もっとも閉店時間が目前に迫っており、
この選択肢はハナからなかった。

チンチン電車の踏切を向こう側に渡ったり、
また元に渡り返したりしているうちに見つけたのが
「かくれん穂」なるパスタ屋。
小麦粉の代わりに米粉のパスタを使用するのが珍しい。
もちろん米粉はビーフンではなく、米の粉のこと。
ラーメンの代わりに深夜のパスタも悪くはない。
米粉のパスタを試すのが目的で
どうせ一口か二口しか食べないのだから
ほとんどをやっつける相方次第。
こちらには何の不満もないのである。

彼女のゴー・サインが出て入店。
メニューの種類はかなり豊富だった。
大根おろしや納豆やなめこは使ってほしくない食材ながら
ほかに客は遠くに1組だけ、納豆の臭いにおびえる必要もない。
何枚もあるメニューのうち、せっかくだから時候を考慮して
「食欲の秋パスタ」なる1枚に絞り込む。
やたら長いくせに
センスのかけらもないネーミングが並んでいる。

 温玉乗せ鮭の甘辛ちゃんちゃん風パスタ
 燻製サンマとなめこの大根おろし生姜醤油味
 野菜たっぷりトマト風味爽やかミートソース

何だよ、これ?
イタリア人が見たら卒倒するぜ。
相方がミートソースを選んでくれて何やらホッとする。
さて運ばれた一皿を一目見てガックシ。
見映え悪く、一気に食欲減退。
一応、デジカメに収めたものの、
写真写りはもっと悪いので掲載に値しない。

口元に運び、咀嚼(そしゃく)する。
う〜ん、当たり前だけど、こりゃベトナムのフォーですな。
イタリアだって大量に米は穫れる。
なのに米粉のパスタがないのは
それなりの理由があるんじゃないんでしょうかねェ。


【本日の店舗紹介】その1
「小林」
 東京都荒川区町屋2-8-16
 03-3892-5447

【本日の店舗紹介】その2
「かくれん穂」
 東京都荒川区町屋2-2-20 2F
 03-6458-2432


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2010年11月8日(月)

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