「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1135回
私鉄沿線(その2)

20代後半から30代の初めにかけて棲んだ町、
千葉県松戸市・上本郷を訪れている。
どなたのお住まいか存ぜぬが、庭の柚子の枝から実を2つ、
失敬したのはオカザワでございます。
お許しを!

懐かしの中華屋「大八北珍」に舞い戻り、
17時の開店直後に入店すると、
迎えてくれたのは見覚えのある面立ちの女将さん。
むろんのことに先方は現れた客の顔を識別していないが
こちらはちょっと可愛いこのお顔をよお〜く覚えているのだ。
当時はよく言えばおとなしい、
ハッキリ言ってひ弱な感じの若旦那を叱咤激励しつつ、
八面六臂の活躍を見せていた彼女。
ほどなく出産したのか、背中に乳飲み子を背負い、
それでも額に汗して接客に励んでいたものである。

生ビールを飲みながら品書きに見入る。
あれれ、ナポリタンがあるぞ!
あなご丼っていったい何なんだ?
穴子の天丼か、はたまた親子丼みたいな玉子とじか。
移転して席数が3倍増になったと思ったら、
知らぬ間に料理の品目も格段に増えている。
以前はイートインより、出前での利用が多かった。
だから女将も当方の顔を覚えていないのだ。

海老チリ・回鍋肉・麻婆豆腐の味は
あれからずっと変わらずにいるのだろうか?
そんなことを考えてお姐さんに注文したのは
値段にして1000円ほどの肉野菜炒めと回鍋肉の小皿、
そして焼き餃子を1人前。
するとお姐さん、「エッ、小皿ですか? 多すぎますよ、
それにお値段も張っちゃうし・・・」――おい、おい、
われわれはそんなに貧乏たらしく見えるんかいな。
せっかく大皿を回避して小皿にしたのに
それでも多すぎるというお達しだ。
「こちらになさいよ、100円引きで単品注文できますから」―
彼女が指し示したのはともに800円の定食。
100円引きなら700円である。

約10分後、真っ先に登場した肉野菜炒めを見て彼女に感謝。

皿からこぼれんばかりの肉野菜炒め
photo by J.C.Okazawa

一瞬、バカ盛りサイズで名を成す、
上中里「百亀楼」のそれが目に浮かんだくらい。
続いて回鍋肉が運ばれた。

こちらのサイズも負けず劣らず
photo by J.C.Okazawa

失敗したのは味付けが塩味・味噌味と異なるものの、
食材がかぶってしまい、
これじゃ胃袋が豚肉と野菜だらけになっちゃうぜ。
回鍋肉の味付けは30年前と変わっていない。
他店のものより味噌と油が主張している。
肉野菜炒めのほうは
よく覚えていないから判断がつかない。

最後に焼き上がった餃子だけは標準サイズで一安心。

量は普通だが6カン300円と激安
photo by J.C.Okazawa

餃子を運んでくれたお兄さんの横顔を見てふと思う。
あのとき背中に背負われていた赤ん坊ではなかろうか。
歳の頃は30ちょい手前か?
年齢が合わない気もするが、たぶんそうであろう。
「このお店の息子さん?」――訊けば判明することながら
物事にはそのまま知らずにいたほうがいい事だってある。

          =つづく=

【本日の店舗紹介】
「大八北珍」
 千葉県松戸市仲井町3-13
 047-368-1609


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2010年11月10日(水)

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