「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1138回
煙いムサコに行って来た(その2)

武蔵小山は「鳥勇駅前店」の店頭で
プラコップの生ビールをクイッとやったところ。
先月末、散歩の途中に通りすがり、
煙突から吐き出される煙りのすさまじさにたじろいだ。
一店舗による暴挙を糾弾しなければと義憤にかられ、
煙りの元の焼き鳥を実食しようと思い立ったのだ。

この店は備長木炭使用店の看板を掲げている。
紀州産とは謳ってないから上物とは考えにくい。
一時、対日輸出を控えていた中国産が
再び入ってきているのか、定かでないが
備長炭にしては煙りが出すぎだ。

ヒナ・つくね・皮・レバー・砂肝・ナンコツ・
ねぎま・ミックス・うなぎなど、串は150円均一。
やや大ぶりとはいえ、150円は高い。
鶯谷の「ささのや」なんぞ、1本70円でっせ。

1本目は先刻ビールを手渡してくれたオジさんが
置いた熱々のレバーで、これはよし。
続いてオバはんが置いた2本目のミックスは
皮・ハツ・レバーの構成である。
てっきり焼き立てかと思いきや、
持ち帰り用に積み上げてたものだから
夜風に当たってすでに冷え冷え。
まったくオバはんってヤツはヒデェことをしやがる。
気を取り直して挑んだ3本目のヒナは
冷めてはいないものの、ちとヌルい。
ミックスは論外として、相対的に中の上といった位置づけか。

立ち食いということもあり、適正価格は100円前後。
ゲッ、ということはすべて5割増しのべらぼうな値段だ。
名店たるもの、本来は地域に何がしかの貢献をすべきであろう。
ここはまったくの反対派、
濡れ手に粟の暴利をむさぼる感、どうしても否めず。
オマケにここ数年、小刻みに値上げを重ねてきたという。
あざとい商法と揶揄されても致し方あるまい。

立地条件が抜群で味もそこそこ、
値段を吹っかけても繁盛しているのだから
ヨソ者がとやかく言う筋合いではないかもしれない。
さりとて日ごろから
下町の廉価にして良質な焼き鳥に親しむ身、
ムサコの住民に対する同情の念、いかんともしがたし。

メインの目的ははたした。
でも、せっかく遠出して来たのだ、
ビールと焼き鳥だけではおめおめと帰れない。
実は常々、武蔵小山には
来たい、来たいと願ってやまぬ店が1軒だけあった。
初見はかれこれ10年前だから
10年越しの恋を実らせる機会に恵まれたことになる。

店の名は「自慢亭」。
供するものは麺類・飯類・定食のみで
一品モノは焼売・餃子すらない。
ただ店先に貼られた品書きの文字と
かすかに垣間見られる店内の様子に
並々ならぬレトロ感が漂い、気になって仕方がなかった。

キリンラガーの大瓶には黄色い沢庵が添えられる。
久々に噛む沢庵が小気味よい音を立てた。
注文したのはともに人気の湯麺と炒麺である。

ニラが決め手の湯麺
photo by J.C.Okazawa


粉々感のある麺が特徴の炒麺
photo by J.C.Okazawa

どちらも個性的な味と食感を合わせ持つ。
店の雰囲気同様に主力商品も他店とは一味違う。
“からし”と呼ばれる唐辛子のペーストと食酢を
徐々に加えてヴァリエーションを楽しんだ。

そう、そう、変わっているといえば、
ここでは店の中にも暖簾が掲げられている。

厨房内に立派な暖簾が
photo by J.C.Okazawa

カウンターも厨房も清潔感が自慢の「自慢亭」であった。


【本日の店舗紹介】その1
「鳥勇駅前店」
 東京都品川区小山3-19-10
 03-3788-3458

【本日の店舗紹介】その2
「自慢亭」
 東京都品川区小山4-3-15
 03-3781-5103


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2010年11月15日(月)

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