第1143回
渋谷で保険をかけました(その2)
♪ おぼろにけぶる月の夜を
対の男女はとぼとぼと ♪
最初のガレット屋をソデにしたものの、
途方にくれる王子さまとお姫さまでした。
せっかくガレットを食べるつもりでいたのだ、
代わりにもんじゃやお好み焼きで
お茶を濁すというワケにはまいらない。
でも、これから神楽坂に回って
あの有名店に赴くってのも、何だかなァ。
ビールの保険はちゃんとかけたのに
まさかこういう展開になるとは夢にも思わず、
ガレットの保険までは気が回らなかった。
が、蛇の道は蛇でした。
ガレット好きの相棒が思い出した店が1軒。
その名を「オ・タン・ジャディス」という。
うん、これなら聞いたことがあるぞ。
あとで調べて判明したことだが
何とこの店、1985年オープンの、
いわば日本におけるガレット界の草分け的存在だった。
お姫さまの先導により、到着したのは何のことはない、
先刻、髪の毛を切ったサロンのすぐそば。
双六(すごろく)でいえば“振り出しに戻る”である。
おう、なかなかの雰囲気漂うファサードではないの。
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フランスじゃないよ、日本だよ
photo by J.C.Okazawa
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否が応でも期待がタカマリングだ。
だが、写真はこれとドリンクの2枚のみ。
店内が暗すぎて肝心のガレットのほうは
J.C.のぼんくらデジカメではキレイに写らない。
友人のO堤クンのオリンパスペンによる、
美しい写真を見るたびにうらやましくて仕方がないのだ。 地下への階段を降りると
ファサードとは裏腹にダイニングはカジュアルで
カフェとビストロの中間感じである。
幸せなことにビールもフランスのクローネンブールだ。
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ビールは小瓶でシードルはカラフェ
photo by J.C.Okazawa
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概して欧州のビールは仏・伊・西のものが好き。
あとはギリシャやトルコの銘柄もいい。
要するに南欧の製品が好きなのだ。
ドイツ・オランダもけっこうだが
ベルギーは複雑すぎて一概には言えない。
ならば、北欧まで行っちゃったほうがスッキリしてよい。
幾種類も並ぶメニューから選んだのは
もっともシンプルなハム・玉子&チーズとバスク風。
バスク風はチキンとパプリカのトマト煮を包み込んだもの。
食べ比べて、これはシンプルな定番に軍配。
ガレットは取り立てておいしいものでもないが
日本のお好み焼きよりは口に合う。
ビールのあとにはカラフェのシードルをたっぷり飲んだ。
ちなみにシードルは日本のサイダーの語源だ。
いろいろあったが、これはこれで満足のゆく夕食となった。
念願のガレットにありつき、相方もご満悦のご様子。
ソデにした「ガレットリア」でのイヤな思いも忘れ、
おかげで「オ・タン・ジャディス」に来れたのだから
むしろ感謝したいほどのものだ。
人間万事、塞翁が馬、
人生はまさに、あざなえる縄の如しでありますな。
【本日の店舗紹介】
「オ・タン・ジャディス」
東京都渋谷区神南1-5-4ロイヤルパレス原宿B1
03-3770-2457
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