「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1145回
カリブの風に吹かれたい(その2)
=れすとらん しったかぶり=
あのころのニューヨークシリーズ(8)

昨日は勤労感謝の日。
明日はアメリカの感謝祭(サンクスギヴィング・デイ)。
またの名を七面鳥の日(ターキー・デイ)という。
この日ばかりは親元を離れていた子どもたちが実家に戻り、
家族揃って母親が焼いた七面鳥をとり囲む。
感謝祭が過ぎたらアメリカ人は一気にクリスマス気分。
こうして1年が暮れゆき、人々は息災を喜び合う。

さて、昨日の続き。
ニューヨークのジャマイカン・レストラン、
「Island Spice」での1コマである。

メインディッシュはジャマイカ名物・ジャークチキン。
ジャーク(jerk)はホットにしてスパイシーなソースで
これが鶏の胸肉にたっぷりすり込んであるから
ペッパーシュリンプに負けずと辛(から)い。
ちなみに胸肉ではなく、
もも肉を好む客はダークミートと指定する。
日本と異なり、ニューヨークでは一般的に胸肉が好まれる。

奇妙な名前のフード(food)は様々な素材の盛合わせ。
ふかしたヤム芋とダンプリングに
青と黄色のバナナのフライが一緒くたにされている。
けっしておいしいものではないが
見るからにカリブ、話のタネに一食あられたし。

2軒目は週末のゴスペルブランチが人気の「Lola」。
でもゴスペルを聴くならレストランよりチャーチだろう。
イタリア風にシックな内装は恋人同士のディナー向き。
カリブの匂いを極力抑え、
和食の感性を取り入れた料理はなかなかの洗練を見せる。

酢味噌で食べるツナのカルパッチョは
柴又あたりの川魚料理屋で出る鯉のあらいを連想させた。
デ・ニーロが経営する「Nobu」にも
味噌を使った料理があった。
おしなべてアメリカ人は味噌が好きなのだ。
真珠のようなパスタはおのずからリゾット風。
女性に喜ばれそうな一皿ながら
パスタはやはりイタリアンでしょう。

愉快なのはリボザウルスと名づけられた料理。
〜〜ザウルスとくれば、みな恐竜のことだが
これは骨付き仔羊のバーベキュー。
羊のアバラ骨をデフォルメして恐竜に見立てたものだ。
アバラのリブと恐竜のザウルスをつなげた造語であろう。
奇抜でユーモラスな姿はピカソやダリが目にしたら
手をたたいて喜んだに相違ない。

ニューヨーク在任中はカリブ海の島々によく出掛けた。
バハマやプエルトリコは魅力に薄かったが
ジャマイカは食事も含めて個性豊かな土地柄だった。
朝鮮半島の参鶏湯(サンゲタン)、
インド亜大陸のタンドゥーリチキン、
豪快なチキンの料理には目のないJ.C.、
ジャマイカのジャークチキンがことさらに懐かしい。


【本日の店舗紹介】その1
「Island Spice」
 402 W 44th St.
 212-765-1737

【本日の店舗紹介】その2
「Lola」
 30 W 22nd St.
 212-675-6700

注:移転・閉店の可能性があります


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2010年11月24日(水)

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