「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1150回
星のおそば屋様(その1)

ただ今発売中の「めしとも」12月号では
「ミシュラン店覆面調査=日本そば篇」を敢行。
ミシュラン東京において現在星付きのそば店は5軒。
くまなくめぐって評価を下したものだ。
そば自体・ほかの料理・店の雰囲気・接客係のサービスの
4項目をチェック、1〜3点で総合評価した結果は下記の通り。

 江戸蕎麦 ほそ川
 1点
 蕎楽亭
1.5点
 三合菴
1.5点
 竹やぶ 六本木ヒルズ店
 2点
 翁
2.5点

これだけでは目安が判らないので
ほかの有名店と比較してみよう。

 室町砂場
2.5点
 神田まつや
2点
 池の端藪
2.5点
 泰明庵
1.5点
 本むら庵
2点

ミシュラン調査員が好んで訪れるそば屋は
いずれも小ジャレてモダンな店ばかり。
一般的な東京人がイメージするそば屋とは
かなりかけ離れているのではないか。
いわゆる老舗系・下町系・町場系がまったく見当たらない。
彼らの成したるシゴトは未熟にして稚拙、
もひとつ加えて怠慢というべきか。

「めしとも」にはコラムの文字数に制限があるため、
あらためて5軒を再検証してみたい。
最初に埼玉県・吉川から大相撲の町・両国に移転して
6年ほどになる「江戸蕎麦 ほそ川」。
はて、“江戸蕎麦”を名乗ることに何の意味があるのだろう。
ときの将軍・大名・名僧・豪商もそばを食したろうが
庶民の口にもちゃんと入っており、高価なものではなかった。
ところが現在の「ほそ川」は庶民が気軽に行ける店ではない。
価格設定の高さから“江戸蕎麦”の代わりに“将軍そば”、
店名も「ほそ川」ではなく「とく川」のほうが似合う。

ビール中瓶の800円は両国で一、二を争う高値。
突き出しの茹で落花生も何だかトンチンカン。
ところが主役のそば自体は悪くない。
喉越しより噛み締め感を楽しむタイプで利休鼠の色合いもよい。
ほのかな甘みを含んだつゆには深いコクがある。
ただし黒地の盆に同じく黒い徳利と猪口は趣味が悪い。
せいろ・ひやかけ・かけ各1050円、青ねぎおろしそば1800円、
牡蠣そば2150円、穴子天せいろ2450円と
エスカレートする価格は止まるところを知らない。

気になるのが店先の貼り紙で
写真撮影と小学生以下の入店禁止令である。
これから食事というときに頭ごなしに禁止されると、
どうにも味気なくなって食欲が萎える。
なぜ“ご遠慮ください”のソフトな言葉が使えぬ。
かくも高飛車な店主の打つそばがどの程度のものか、
おおよその見当がつこうというものだ。
そもそも“禁止令”の乱発は世の中を殺伐とさせてしまう。
“禁止令”を発して角が立たないケースは
違法駐車、未成年者の飲酒と喫煙、心ない落書き、
マナーに反する携帯電話の使用、こんなとこだろう。
おっと、危うく忘れるところであった。
男子限定ながら立小便禁止、これは非常に大切ですな。

             =つづく=


【本日の店舗紹介】
「江戸蕎麦 ほそ川」
 東京都墨田区亀沢1-6-5
 03-3626-1125


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2010年12月1日(水)

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