第1149回
夢のカリフォルニアざくろ(その2)
1個480円が高いか安いか判断がつかないけれど、
夢のような大きさのざくろを前に襟を正す。
国産品とはサイズだけでなく、果皮の色づきも違って
深い紅色は見るからに甘そうだ。
そもそも街のフルーツショップではあまり見掛けぬザクロ。
民家の庭で枝に実っているのを見るほうが多い。
古代エジプトやギリシャでもよく食べられていて
人類との関わりは古く深いものがある。
トマトやじゃが芋のように原産地が特定されておらず、
トルコ・イラン・南欧・北アフリカなど、諸説あるようだ。
日本には主にイランやカリフォリニアから輸入され、
買い求めたのもおそらくカリフォルニア産だろう。
谷中の夕焼けだんだんに「ザクロ」なるレストランがある。
イラン&トルコ料理の店でざくろを店名にするくらいだから
彼の2カ国では相当ポピュラーな果物であるはずだ。
イラン産のざくろジュースは東京でもひんぱんに見掛ける。
好奇心に胸躍らせてまずはその実を真っ二つ。
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深紅の粒がビッシリ
photo by J.C.Okazawa
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ほう、こいつはスゲエや。
スプーンですくおうとすると
粒が弾けて赤い果汁がテーブルに飛び散る。
テーブルだけでなく膝元にも降りかかる。
こりゃ白いパンツやワンピース姿では
おちおち食べていられませんぞ。
昔、アダモが歌ったフレンチポップスの名曲じゃないが
食べるときのかっこうは
「ブルージーンと皮ジャンパー」が理想的だ。
スプーンはやめて素手で実をほぐし取ることにした。
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筋子じゃないよ、ザクロだよ
photo by J.C.Okazawa
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すするというか、しゃぶるというか、
早いハナシがかぶりつくと、みずみずしいことこのうえない。
酸味より甘味の勝った、甘酸っぱさが口中に拡がる。
なかなかにおいしいものである。
めったに食べないけれど、
アイスクリームやヨーグルトに散らしても合いそうだ。
それにしてもあまりにデカすぎて少々持て余し気味。
1個で3人分はたっぷりあるだろう。
ここで話が前後するが、ざくろを食べた数日後に
週刊現代と間違えて買ったサンデー毎日(第1147回参照)を
丹念に読んでいて見覚えのあるざくろの写真に出くわした。
まさしく先日食したばかりのデカざくろ。
読者プレゼントの“今週の食べた〜いっ”というコーナーに
こうあった。
もぎたてのカリフォルニアざくろ
「ワンダフル種 10個」を3人に
もうちょっと記事を引用すると
カリフォルニアざくろ東京広報事務局では
旬を迎えたカリフォルニアざくろの魅力を
多くの人に知ってもらおうと
深紅の上品で美しい「ワンダフル種 10個」
(8400円相当)を3人に
ふえ〜っ、1個840円もするんだ。
品種はワンダフル種っていうんだ。
11月から12月に旬を迎える、夢のカリフォルニアざくろ。
まさに
♪ California dreamin' on such a winter's day ♪
ですな。
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