「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1159回
迷ったときは大塚へ行く(その1)

某月某日。
といっても2ヶ月ほど前の小春日よりのおだやかな日。
旧知の友人とともに夕刻から飲む算段が成立していた。
こういうケースは十中八九、
J.C.が赴く地域と訪れる店を決めることとなる。
これって楽しいことなれど、忙しい日は意外と厄介。
まっ、この日は夕方から飲み始めるくらいだから
そこそこヒマな一日だったのである。

お互い都心に身を置く身、
銀座・赤坂・六本木はもとより、
神田・本郷・神楽坂もむろんのことに
渋谷・新宿・池袋をさしていとわず、
上野・浅草・北千住なら朝めし前、
蒲田・大森・大井町とてお茶の子さいさい、
いずれの土地も行動範囲にピシッとおさまっている。
井上陽水の「青空、ひとりきり」じゃないが
   ♪ 楽しいことなら 何でもやりたい
      笑える場所なら 何処へでもゆく ♪

なのである。

はて、どうしたものだろう?
今宵はいづこへ行くべきか?
こんなとき、あてどなく迷ったとき、
池袋と巣鴨の中間に位置する大塚の町へ出掛ける。
なぜ? ってか?
東京からどんどん消えてゆく昭和の残り香を
いまだにかろうじて嗅ぐことができるのがここだからだ。

結局は薬局、この日もこれにて落着。
わが人生、かくも気楽でよいものか?
そんな疑問はアタマの隅にとどまるヒマもあらばこそ、
アッという間に右から左へ素通りの巻である。

大塚までの交通手段はいろいろある。
山手線が一般的だが、地下鉄・新大塚から歩くのもいい。
都営バスもあっちゃこっちゃから出ている。
オススメは東京に唯一残ったチンチン電車だ。
もっともこれは豊島区・北区・荒川区の住民か
さもなくば、周辺で仕事でもしていない限り、
便利なアクセスとはならない。

当日はバスで行った。
上野広小路から東京大学の脇を抜け、
春日の交差点で大きく迂回するのは文京区役所を経由するため。
ここが後楽園駅のそばということも影響していよう。
その後、小石川植物園に沿って北西に一路、
大塚駅前に至ったのだった。

この時点で行く店はまだ特定していない。
旧三業地を実際に歩いて物色するつもりでいる。
時間が早いので三業地の反対側、
山手線の外側の北大塚をぶらぶらする。
チンチン電車の踏切そばに
開業間もないたこ焼き屋を発見した。
開店祝いの花が飾られ、贈り主は「鮨 池澤」、「稲葉」とあった。
鮨屋は5年ほど前に1度行ったことがある。
「稲葉」は銀座のクラブのようだ。
なぜ大塚のたこ焼き屋に銀座の鮨屋とクラブから花が?
フム、たこ焼き「上木家」の前で立ちつくし、
思案をめぐらすJ.C.であった。

            =つづく=


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2010年12月14日(火)

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