「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1160回
迷ったときは大塚へ行く(その2)

北大塚1丁目の交差点近く、都電踏切の真ん前。
たこ焼き店「上木家」の店先で黙考している。
銀座の鮨屋とクラブから開店祝いの花が贈られてきている。
聞き覚えのない店名ながら、銀座のたこ焼き屋の支店だろうか。
わざと屋号を変えて新店を開くこともあるだろう。
いや、そうではあるまい、何かからくりがあるはずだ。

幸い品書きにビールがあった。
アサヒスーパードライ     300円
サントリープレミアムモルツ  350円

値段からして缶ビールだろうが
ちょいとくつろごうかな、という気にさせられて入店。

若いオニイさんが2人で立ち働いている。
店頭販売の焼き場から真っ直ぐのびたカウンターは6席ほど。
その反対側には窓に向いたカウンターが4席だったかな?
窓際に陣取ると、ビールはやはり350mlの缶だった。
店のフルネームは「名匠たこ焼き 上木家」である。
名匠たこ焼きと醤油たこ焼きはともに5個300円、8個400円。
秘伝ネギポン酢というのもあり、これは8個入りのみで500円。
ほかに、たこせん130円があった。
以前、荒川遊園地のそばのたこ焼き屋で
買い食いしたことがあるたこせんはここで会ったが2度目。
ソースせんべい用の薄いせんべいに
たこ焼きをサンドイッチして食べるものだ。

名匠の5個入りとたこせんを1つ注文。
たこ焼きをペロリと食べてしまい、
たこせんにかかったところでふと思い出し、写真を1枚。

食べかけのたこせん
photo by J.C.Okazawa

勘定を済ませながらオニイさんに訊ねると、
2人は銀座のクラブ「稲葉」でウエイターをしていた同僚同士。
これですべてが飲み込めた。
「稲葉」のママやホステスさんが
同伴で「鮨 池澤」をひんぱんに使っているのだろう。
ニイさんたちの名前は上田クンと木村クンだったかな?
2人合わせてヤンマーだ、もとい、上木家だ。
若い彼らの前途に幸多からんことを祈る。
きばりいや!

時少しく流れて、宵闇せまる大塚旧三業地。
その名も三業通りを行ったり来たりである。
身の落ち着けどころを探しているのだ。
4〜5軒の候補から白羽の矢を立てたのは
「一松」なる割烹風の和食店だった。
カウンターで皮切りはサッポロ黒ラベルの大瓶。
ビールを大瓶で出す店はおもに二通りあり、
大衆酒場など庶民性あふれる店か、
昔ながらの日本料理屋で座敷を設け、宴会可能な店。
大人数の宴会になると中瓶では追っつかないのだ。
乾杯の際に間に合わず、客を待たせてしまうことになる。

店主は築地にほど近い、新富町「松島」の出身。
大塚にも「一松」のそばに「松島」があるが
そこは本家の次男坊が開いた店とのこと。
店主はわれわれと言葉を交わしつつも突き出しを整える。

煮帆立・鴨ロース・ポテトサラダの3品
photo by J.C.Okazawa

最初の1皿により、料理の傾向が容易に判明した。
いずれも東京風の味付けで
小津安二郎の映画に登場する料理屋の味は
かくあらんと思われた。
当たらずとはいえ、遠からずであろう。
 
          =つづく=

【本日の店舗紹介】
「名匠たこ焼き 上木家」
 東京都豊島区北大塚2-28-7
 03-3949-9368


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2010年12月15日(水)

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