「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1163回
サンマリノは切手だけじゃない!

サンマリノという小国をご存知だろうか?
子どもの頃(ベツに大人になってからでも構わないが)、
切手コレクションを趣味とした人なら
この国が発行する切手を何度も見ているはずだ。
四方をイタリアに囲まれた独立国は
世界最古の共和国としても知られている。

ニューヨークのマンハッタンとほぼ同じ広さに
3万人の人々が暮らしている。
去年の時点で在留邦人は4人だけ。
国家収入の5割を観光に頼っており、
もちろん切手発行による収益を大きく上回る。
年間330万人強の観光客が訪れるというから
ほぼ1日に1万人が入国する計算になる。

J.C.がこの国を旅したのは1986年の夏。
ローマからヴェネツィアまで列車で行き、
そこからレンタカーでラヴェンナとリミニを経由して
高原の国・サンマリノにやって来た。
平和そのものが国土に浸透し切っていて
男性の平均寿命は80歳で世界一、女性も第3位と長寿国だ。
イタリアと同等の医学・医療の先進性もさることながら
いかに殺人事件や死亡事故や自殺が少ないか、
数字が如実に示している。
実際に見聞したのは四半世紀前だが
とてつもなく平和な国という印象を持った。
今もそれは変わらないであろう。

旧知の友人より久しぶりに電話があり、
有楽町のレストランでサンマリノのワインを飲んだという。
この友はサンマリノを旅したときのメンバーだから
古い古い盟友といってよい。
旅行の際に本場でワインを飲んだのはもちろんだが
それ以外でサンマリノのワインに遭遇しことは皆無、
すかさず「案内せい!」と狼の一吠え。

店の名は「牛たんビストロMARUNE」。
シンボル・ロゴは○の中にひらがなの“ね”の字。
有楽町から東京駅方面に向かう線路のガード下にある。
牛たん&とろろ飯で有名な「新宿 ねぎし」の経営で
“牛たんビストロ”を謳っている。
かなりの大箱はカウンターとボックス席のレイアウト。
われわれは例によってカウンターに陣を取った。

サンマリノ・ワインは白・赤・スプマンテとあり、
銘柄はいずれもカステッリ・サマリネージ。
エチケットにヴィンテージは見当たらなかったが
(見落としかもしれない)フルボトルで2500円と格安。
抜栓をお願いしたのはむろんのことに赤だ。
オーソドックスなつまみに混じり、
ちょいとひねったモノも散見された。
そしてさすがに牛たん&牛テールのアイテムが
メニュー上で大手を振って歩いている。

注文したのは厚切り牛たん焼きと牛テールの醤油煮込み。
どちらもそこそこのボリューム感だ。
たん焼きは薄切り・厚切りの2種類あり、
「ねぎし」にはない(?)厚切りを試す。
専門店だけに餅は餅屋、
品質に安定感あれど、堅いスジが気になる部分もあった。

肝心のワインはミディアムに近いライトボディ。
牛たんはともかく、牛テールにはいささか物足りないけれど、
1ヶ月前に飲んだボジョレ・ヌーヴォーよりは
舌に、のどに、訴えかけてくるものが少なからず、
そのくせ残す余韻に澱みやエグみがほとんどない。
値段から“買い”だろうし、店自体も使える店だ。
垢抜けた接客のマダムも好感度大である。


【本日の店舗紹介】
「牛たんビストロMARUNE」
 東京都千代田区丸の内3-6-1
 03-6268-0707


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2010年12月20日(月)

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