「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1164回
中野和雄サンを囲んで

12月に入ってやっと「レバンテ」に行くことができた。
九段下「寿司政」の新子を食べないと
山口瞳の夏が終わらないのと同様に
有楽町「レバンテ」の生牡蠣を食べなけりゃ
J.C.の冬は始まらない。

「レバンテ」は松本清張の出世作、
「点と線」の冒頭にも登場するビヤレストラン。
ビヤホールと洋食屋の中間的な、
あるいは両方をカバーするような料理が並ぶ。
とりわけ冬場の牡蠣料理が垂涎の的。
三重県はその名も的矢湾の牡蠣のみを使用していて
何を隠そう、J.C.がこの世でもっとも愛する牡蠣なのだ。
これについてはあっちゃこっちゃで
さんざっぱら書いたり語ったりしてきたから
ここではもう、シツッコくしない。
スーッと先に進む。

当夜、集まったのは7人。
主役は「キン肉マン」の名サイドプレーヤーの中野和雄サン。
彼は当コラムの読者にして「下町を食べる会」の常連でもある。
飲み仲間にH社長なる埼玉在住の遊び人がおり、
その息子のSオが中野サンの大ファンで
ぜひ1度お会いしたいと懇願するため、
父子ともども引き合わせたのである。
ちなみにH社長はシモネタが目立つものの、
けっしてエッチな社長という意味ではなく、
単なるイニシャルなのでくれぐれも誤解なきように。

ほかには美女が2人に“それなり”が1人の構成。
美女は熟年のアイドルとして誉れ高いM泉サンと
雨に咲くアジサイの如き(ちとほめ過ぎか?)T賀サン。
“それなり”は本人の名誉のためにあえて名を伏すが
竪琴奏者として、ちったあ名の知れたオアネエさんだ。

中野サンのサインを友だちのぶんまでもらい、
ルンルンのSオを尻目に
大人たちはよく食べ、よく飲み、よくしゃべる。
牡蠣は好きでも生牡蠣苦手のM泉サンは
もっぱら牡蠣フライとジャーマンポテト。
牡蠣アレルギーにもかかわらず、
果敢に参加を表明したT賀サンは
すずきのエスカベッシュとローストビーフ。
それぞれに糊口をしのいでいる。

牡蠣と帆立のピラフで締めてさあ、もう1軒。
新橋寄りガード直下の「八起」に誘導するつもりで
有楽町駅前に差し掛かったとき、T賀サンが口を開いた。
「わたし、あの『新日の基』に1度行ってみたいんですよねェ」
おお〜っと、「新日の基」といやあ、
駅前ガード下を代表する夜のオヤジ天国じゃねェですかい。
まっ、これから連れてく店とたいして変わりゃしないが
彼女のイメージとは対極にある大衆酒場の看板を
うっとり見上げながら、つぶやいたものである。

ふ〜ん、そんなもんかいな。
しかしよくよく考えりゃ、
いいトコの奥さまお嬢さま方が
気安く敷居をまたげる場所ではないやネ。
いいでしょう、いいでしょう、
そののぞみかなえましょうと行く先を切替えた。
総勢7人誰ひとり欠けることなく、
「新日の基」の暖簾を威勢よくくぐりましたとサ。


【本日の店舗紹介】
「レバンテ」
 東京都千代田区丸の内3-5-1
 東京国際フォーラム Aブロック地上広場2F
 03-3201-2661


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2010年12月21日(火)

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